暑い夏をお過ごしの皆さん、夏バテしていませんか?
もうすぐ土用の丑の日ですね。
この暑い夏を乗り切るためにも栄養価の高いうなぎを食べて、体力回復をさせましょう。
でもちょっと待ってください。
なんで、『土用の丑の日』にうなぎを食べるという習慣があるのでしょうか。
ご存知ですか?
なんで毎年「高いなぁ~」と思いながら、うなぎを食べちゃうのでしょうかね。
日本人はゲン担ぎがとても大好きですよね。
だから土用の丑の日も、クリスマスやバレンタインデーみたいに、うなぎ業界に踊らされているようなフシを感じませんか?
毎年夏になると、新聞の折込チラシやスーパーのポップやCMなどでバンバンコマーシャルしていますよね。
『今年の土用の丑の日は○月○日!うなぎが安い!』って。
だからよくわからないけど家計が苦しいのに、なんとなくうなぎを食べてしまいます。
そこで今回は、『なんとなく食べている』を『なるほど!だったら食べなきゃ』という考えに変換すべく、土用の丑の日のことについてまとめました。
目 次
土用の丑の日の意味を簡単に解説!
土用の丑の日とは、土曜日に牛を食べていたんだけど、いつの間にかウナギを食べるようになった日・・・ではありませんでした。
もちろん、土曜日の丑の刻にウナギを食べましょう!・・・という日でもありません。
そもそも『土用の丑の日』ってなんなのか、って話ですよね。
詳しく調べた結果、土用の丑の日は夏だけでなく春・夏・秋・冬、それぞれにやってくるものだったのです。
要するに、一年間に4回も土用の丑の日が存在するのです。
土用の丑の日の『土用』とは
土用の丑の日の『土用』とは、そもそも『土旺用事(どおうようじ)』が略された言葉です。
芸能界で言うところの、木村拓哉さんをキムタクと呼んでいるような感覚に近いですね。
土旺用事を分解すると、それぞれの漢字にはこんな意味があります。
旺・・・日の光が盛んに四方に放たれ大きく伸びる
用・・・はたらき
これらを合わせて、土旺用事とは『土の気がもっとも盛んに大きく働く期間』という意味になります。
土用の丑の日が一年に4回来る理由
実はこの『土』には仲間があって、他に『木・火・金・水』があります。
『木・火・土・金・水』が1セットということです。
昔の日本というのは古代中国の影響を受けていることが多いのですが、この『木・火・土・金・水』もまた古代中国の由来となっています。
五行思想または五行説という考え方で、この世の全てのものや事柄は『木・火・土・金・水』の5種類の元素からなりたっているという説になります。
『木・火・土・金・水』のそれぞれが互いに影響しあいながら互いを打ち消し合うという性質をもっていて、影響と打ち消しを繰り返すことでこの世の中が変化していくという考えです。
『木・火・土・金・水』のそれぞれには、次のような意味があります。
・火・・・・光り輝く炎は灼熱の性質を表す
・土・・・・植物の芽が地中から発芽し育成・保護する性質を表す
・金・・・・金属のように堅固・確実な性質を表す
・水・・・・泉から湧き出て流れる水を表す
全てのことが『木・火・土・金・水』の元素で出来ているというのが古代中国由来の五行説の考え方ですので、「季節を当てはめよう」ってことになったのですが・・・。
木=春
火=夏
金=秋
水=冬
土=???
となりますよね。
季節は今も昔も4つしかなく、そもそも5つあるものを4つで割り振ろうという方が無理があるのです。
まあ、当然といったら当然の結果ではあるのですが、どうしよう・・・。
困り果てた結果「そうだ!土(つち)の性質は、全ての季節に均等に存在する」とこじつけて、各季節の変わり目となる最後の18日~19日間を『土用』としたのでした。
苦肉の策ともいえそうですね。
このような経緯から、『土用』は年に4回訪れるのです。
まとめると、
夏は、火+土用
秋は、金+土用
冬は、水+土用
となります。
「じゃあ、ウナギを食べる日が年に4回もあるのか!」というと、そうでもありません。
これに関しては後述します。
土用の丑の日の『丑の日』とは
次に『丑の日』についての説明をします。
結論から言うと、これは十二支の『丑』を指しています。
十二支はご存知の通り、年を数える時だけに使われるのではなく、方角・月・日にちなどを数えるのにも使われますよね。
十二支は12日周期で回っていて、1番目の『子』から始まり12番目の『亥』までいくと、次はまた1番目の『子』に順番が戻ってきます。
だから『丑の日』も必然的に、12日後には順番がまた回ってくるのです。
『土用の丑の日』とは
つまり土用の丑の日の土用とは、立春・立夏・立秋・立冬の前18日間のことを指し、その18日間の間に巡ってくる『丑』の順番の日・・・ってことです。
たまに、「今年は土用の丑の日が2回くるんだって~」なんて話題になりますよね。
それは例えば、土用の期間に入った最初の日が『丑』に当たっていれば、13日目も『丑』となるってことです。
土用が18日間ということは、1日目~6日目のどれかが『丑』となっていれば、その年の土用の丑の日は第2ラウンドが訪れるということになるのです。
7日目以降の順番の年は土用の丑の日は1回となりますので、あしからずです。
土用の丑の日と平賀源内とのつながり!
『土用の丑の日』がわかったとことで、では、なぜ土用の丑の日に『ウナギ』を食べる習慣が定着しているのでしょうか?
この謎に迫っていきます。
時は江戸時代。
この時代に発明家として有名だったのが、平賀源内さんです。
平賀源内さんは、壊れたエレキテル(静電気発生装置)に独自の新たな考えを加えて改良し完成させた人物です。
しかもこの平賀源内さんは非常に多彩な人物だったようで、発明家意外にも、地質学者としても医者としても小説家としても有名だったようですね。
そして、無類のウナギ好きでも有名だったといいます。
そんな平賀源内さんのもとへ、泣きつくように相談に訪れたのが・・・うなぎ屋さんです。
「源内さん、夏になるとウナギがぱったり売れなくなります。どうしものでしょうか・・・」
これに平賀源内さんは、一言言います。
「『本日は土用の丑の日!うなぎを食べよう!』と、店先に張り紙を貼ればいいですよ」
うなぎ屋さんは店に戻るとさっそく張り紙を作成し、店先にババンっと貼り付けたところ、これが大当たり!
これまでの閑古鳥がうそのように、大繁盛したということです。
その後、これを聞きつけた別のうなぎ屋さんもこぞって真似をしたことから、土用の丑の日にウナギを食べる習慣が定着したのでした。
実はもともと巷では、『丑の日』に『う』のつくものを食べると病気にならないという迷信があったとされていますので、ウナギがすんなりと当てはまり浸透していったというわけなんですね。
うなぎ好きが功を奏し、また発明家としてのヒラメキが、うなぎが売れなくて困っていたうなぎ屋さんの生活を助けたということです。
平賀源内さんの張り紙効果・・・恐るべし!!
土用の丑の日にうなぎをなぜ食べるのか?
土用の丑の日にうなぎを食べることを習慣化させたきっかけは、平賀源内さんです。
しかし、実はもっと古い時代で、夏の暑さにうなぎが効果的であると記したとされる書物が残されていることをご存知でしょうか。
万葉集です。
万葉集は、奈良時代の末期に成立したとされる、日本に現存する最古の和歌集ですよね。
西暦でいうと760年くらいですので、平賀源内さんが「うなぎをたべよう!」と広めるよりも約1,000年も前のこととなります。
うなぎが登場する、気になる歌がこちらです。
原文『石麻呂尓 吾物申 夏痩尓 吉跡云物曽 武奈伎取喫』
意味『石麻呂さんに申し上げます。夏痩せに良いそうですからうなぎを捕って食べてください』
大伴家持さんが歌った和歌になります。
石麻呂という痩せた老人に対して、「夏痩せに効果があるらしい」だから「うなぎを捕って召し上がりなさい」と、からかった内容になっています。
決して、痩せた老人の石麻呂を心配して歌った内容ではないのですが、この時代から夏のうなぎには栄養がたっぷりと含まれていて、暑い時期を乗り越えるために食べられていたということがわかりますね。
うなぎの旬は夏?冬?
天然のうなぎに限定すると、最も脂が乗るのは晩秋~初冬(11月~12月)ですので、美味しさの意味での旬は、間違いなく冬です。
しかし、うなぎを捕まえやすく多く市場に出回る時期では、夏のほうが旬なのです。
うなぎは『冬の、美味しさ』『夏の、たくさん出回る』ということから、夏と冬の両方が旬といえるのではないでしょうか。
うなぎの成分
実際にうなぎには『ビタミンA・B群』が豊富に含まれているので、疲労回復、食欲減退防止の効果が期待されています。
他にも『カルシウム・DHA・EPA』も多く含まれていますので、歯や骨を丈夫にもしてくれたり、頭の回転も良くしてくれたり、様々な病気の予防などにも大活躍してくれます。
夏バテ対策にピッタリというか、健康維持に重宝する食べ物なのです。
昔の人からしてみれば、うなぎの成分内容なんて知る由もなかったのでしょうけど、万葉集に登場する頃には既に、うなぎが疲れた体を復活させるということを肌で感じていたのです。
そして現代、うなぎは養殖に成功しているので、年間通していつ食べても品質が変わらないようになりました。
・夏に多く捕れやすい事実
・養殖成功で品質が変わらない事実
以上のことから春でも秋でも冬でもない、夏のうなぎを土用の丑の日に食べる風習は、理にかなっていることがわかりますよね。
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土用の丑の日の意味を簡単に解説!平賀源内はうなぎをなぜ広めたの?のまとめ
今回は土用の丑の日の意味と、平賀源内のことやうなぎに至るまでの繋がりなどについてまとめました。
・土用は、年に4回くること
・平賀源内のヒラメキがうなぎ屋さんを救ったこと
・奈良時代の頃から、夏のうなぎは食べられていたこと
様々な要素がうまい具合にからみあったことで、現代では『うなぎを美味しく食べるイベント』として土用の丑の日は定着しています。
「うわっ!もう!この時期のうなぎは高いけん。食べられん!!」って言いよったですけど、ちょっとくらい高額でも、毎年食べようって気になりますね。
地方によっては、梅干し・ウリ・うどん・牛肉(うし)・馬肉(うま)など、『う』がつくものが食べられています。
季節の変わり目は体調を崩しやすくするため、栄養のあるものをしっかり食べて暑い夏を乗り切りましょう!