省エネ・半永久的寿命として登場し、今も尚著しく注目を浴び続けているLED。
少々お高めの値段設定になっていますが長い目で見ると球切れになることがないので、いちいち電球を買うことも交換する必要がなくなるので、非常にお得な電球と言えます。
明るい! 省エネ! 球切れなし!
イイコト尽くしのLEDですが、事ヘッドライトへの装備となるとあまり良い噂を耳にしません。
明るい照明力で暗闇を照らしてくれるなら「走行中の安全が確保されて良いんじゃないの?」と思われますが、実はそうでもないのです。
そこで今回は、ヘッドライトLED化のメリットとデメリットをご紹介します。
これからヘッドライトをLED化しようとしている人必見!
人々の声から見えてくる意見を参考に、愛車へのLED搭載を検討されてください。
因みに私は、ヘッドライトのLED化は反対派です。
目 次
ヘッドライトLED化はアリ?搭載のメリットとは
驚くほど明るい光を放つLEDバルブを搭載する車両が、急速に増えてきました。
最近では、大手メーカーが手掛けたバルブだけでなく、安価に入手できる中国製などのバルブもラインナップされてきていますよね。
そんなLEDバルブの利点といえば、なんと言っても『消費電力が少ないこと』です。
車両に取り付けられているライト類の全てをLED化することで、バッテリーの寿命は確実に伸びるでしょう。
ほんの少し前まで、明るいバルブといえば『HIDバルブ』と言われてきましたが、そのHIEよりもLEDは次の点が優れていると言えます。
車両への取り付けが簡単
HIDバルブはバラストの設置やバッテリー配線など、スペースの問題やDIY難易度が低いとは言えません。
しかしLEDは、ノーマルのバルブからコネクターを取り替えるだけでOK。
バルブ交換をしたことがある人なら、数分でポン付けできちゃうくらい難なく取り付けることが出来るようになっています。
点灯の立ち上がりの早さ
HIDバルブの仕組みは高電圧の放電によりガスを発光させているので、点灯してから安定するまでおよそ10秒かかります。
それに比べてLEDバルブはチップ自体を光らせているので、立ち上がりの点灯がメチャクチャ早いです。
しかもパッシングがスムーズに出来るので、これはHIDには真似が出来ないポイントといえるでしょう。
省電力で寿命が長い
LEDは非常に長寿命ですので、よほど粗悪品を掴まされない限りは突然バルブが切れるというのは一般的考えにくいです。
HIDの方は、電圧や接触不良で点灯しなくなるケースは未だに起きているのが現状です。
一口に『寿命』と言っても、人の命のように臨終する瞬間のように事切れることをいうのではなく、バルブの場合は70%を満たさない光量になった時を『寿命』といいます。
HIDバルブの寿命は5000時間・LEDバルブは10000時間と、5倍の差があるわけですから、LEDが長寿命と言われるのもうなずけますね。
とはいうものの、『作りが雑・それほど明るくない』というようなヘッドライト用LEDバルブが存在するのは事実です。
明るさだけだとどうしてもHIDには勝てないことがありますが、省エネや取り付けが簡単などを加味して判断すれば、ヘッドライトのLED化は十分にアリだと思われます。
ヘッドライトのLED化に不安を覚える場合は、フォグランプやハイビームで試してみると良いかもしれませんよ。
ヘッドライトLED化はアリ?搭載のデメリットとは
しかし、やっぱり気になるのが以前から問題視されている『明るさ』と『光軸』です。
ヘッドライトLED化に際し、デメリットは次の3つです。
・車検に通らないかもしれない
・雪国では使えない
・爆光で対向車に恨まれる
順番に紹介していきます。
車検に通らないかもしれない
LEDバルブというのは一見すると明るく見えますが、実際に測定すると車検に通らないという事例が相次いでいます。
実際に購入してみればわかりますが、大手メーカーであろうが『車検対応』とされていようが、LEDバルブのパッケージには『100%車検に通るとは限らない』といった内容の記載が必ずされているはずです。
これはLEDの光が、従来のハロゲン・HIDとは光の広がり方が違うことに他なりません。
どういうことかと言うと、そもそもヘッドライトに装備されているリフレクター(反射鏡)の形状がハロゲンやHIDの光に合わせた設計となっているからなのです。
LEDのようなまっすぐの光には対応していないため反射が変わってしまい、結果、車検に通してみると光量不足・光軸が出ないという事態が発生してしまっているのです。
LEDの光軸は『直進発光性』が高いだけに、正面から見れば明るく感じられますが少しずれると一気に暗く見えるということは、このことからも証明されるのです。
これによってLEDバルブの需要は大切なメインとなるヘッドライトではなく、光軸を気にしなくて良いフォグランプで使用されることが最近まで続いていたというわけです。
雪国では使えない
ご存知の通り、LEDは熱を持ちません。
正確に言えば、基盤は熱くなっていますが光を放っているチップ自体は熱を持ちません。
LEDの光は熱を持たないため、ヘッドライトのランプケースがあたたまることがなくなります。
雪国・吹雪くような地域でランプケースが冷えて状態のままで走行すると、ライトに着雪した雪で光が埋もれて光量が減り前方が見えなくなるのです。
少し走っては雪を払うために停車し、また少し走っては雪を払い・・・を、永遠に繰り返さなければなりません。
そして豪雪地帯ともなると、アスファルトが雪で埋まり圧雪になっていて、道路の両脇は雪壁に覆われていて、更に吹雪いているようなシーンに出くわすことが大にしてあります。
このような場面ではLEDの青白い光は逆に見えづらくなるので、従来から使われる少し黄色がかった光を放つハロゲンランプの方に軍配が上がるというわけです。
青白ければ青白いほど周囲が見えなくなりますからね、非常に危険です。
雪深い地域に設置されたLED信号機も、熱を持たないので雪に埋もれます。
それはもう、信号機の姿かたちが分からなくなるくなるくらい埋まるので、信号機の存在に気づかず脇から突っ込んでこないとも限りませんよね。
豪雪地帯での運転には十分注意をしてください。
爆光で対向車に恨まれる
新しいもの・珍しいもの好きの日本人としては、ただ単純に「かっこいいから」という理由で爆光に手を出してしまいますが、それは正直よろしくありません。
対向車のドライバーが相当眩しい思いをしています。
たまにハイビームのまま街中を走行している人がいますが、LEDバルブは普通にしていても目がくらむほど眩しいものなのです。
消失現象という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
夜間の走行で自車・対向車、双方のヘッドライトが極端に明るい状態で互いがある程度近づいた時、そこを横断している歩行者が消える現象です。
グレア現象とも言いますが、夜間の運転は視野が狭くなっていることに加えて、対向車のライトの眩しさに目がくらむのが要因です。
実験ではロービーム・ハイビームの見え方だけですが、LEDのロービームはこのハイビームよりも眩しいので、歩行者は目の錯覚で完全に消えてしまうことが容易に想像できるのではないでしょうか。
最近では純正でLEDヘッドライトを装備した車が登場してきましたよね。
そのヘッドライトを覗き込んで見てみると、ヘッドライトユニットの中に複数のレンズが入っていることが確認できます。
車種によって異なりますが2個~3個のバルブが入っています。
なぜ複数個なのかと言うとその理由は簡単で、LEDはどうしてもまっすぐの光で広がりがないため1個のバルブでは限界があります。
ハロゲンやHIDの光の広がりを再現するために、複数レンズを採用しているのです。
ということで、ハロゲンランプが純正となっている車種にLEDをつけても、安全に必要な光の広がりがでませんので、個人的にはヘッドライトのLED化はおすすめできません。
ヘッドライトLED化はアリ?人々の声に注目!
ここまでは、ヘッドライトLED化へのメリットとデメリットを見てきました。
実際にヘッドライトLED化を体験された人たちがどのように感じたのか、声を集めてみました。
・LEDが眩し過ぎるため、ヘッドライトのスグ脇にあるウィンカーの点滅が見えづらく判断がつかないことがある。
・夜間なのにサングラスが欲しくなる。
・雨の日のバイクに乗っているとシールドに付いた雨粒に、対向車のLEDが乱反射して何も見えなくなる。
・真っ暗な道というわけでない街中で、あんなに明るさが必要なのか?ものすごく疑問に思う。
・車のヘッドライトに限らず、バイクや自転車に搭載したLEDは眩しすぎて迷惑としか感じられない。
・目をくらます勢いで照らさなくても車の存在には気づける。
・自転車のライトに、護身用として搭載されているフラッシュライト装備されたストロボモードは事故を誘発するのでかなり危険。
・LEDのライトは眩しいだけでちっとも明るくない。
・LEDライトの直撃を受けると目の奥に痛みを感じる。
・雪国で走行しているとLEDヘッドライトに着雪して、いちいち降りてライトの雪をどかさないといけないから面倒。
・最近の新車はLEDばかりなので、せめてオプションでハロゲンを選べるようにしてもらいたい。
・ヘッドライトは色温度が低いハロゲンランプだけにしてもらいたい。
・対向車のLEDが眩しすぎて殺意を感じる。
・LEDとハロゲンでは光の放出性質が違うので、放射状に出す光を反射して光量を稼ぐハロゲン用のリフレクターにLEDバルブをそのまま入れてもきちんと光軸がでない。後付けでLEDバルブを入れてもハロゲンに比べてもあまり明るくならない。1万ルーメンを越えるような高輝度バルブを入れても根本的な解決にはならない。リフレクターの乱反射でグレアの範囲が広がり、眩惑効果が広まるばかり。
・ロービームは路面からの反射で目が疲れるし、ハイビームはハロゲンより暗いし、冷却ファンの音が車内まで聞こえてかなりうるさいので2週間でLEDを外した。
・純正でも明るいヘッドライトを搭載する車両が増えてきたが、背の低い子供の視力障害にならないのかが心配。
ほとんどがマイナス意見に驚きです。
私も夜間走行をしていて、アップダウンする道ですれ違う対向車のLEDヘッドライトが眩しすぎる時は前方が見えなくなるので、アクセルペダルを緩めるどころかブレーキペダルを踏まざるを得ない状況になります。
更に、こんなこともありました。
左右のヘッドライトはもちろん、その中央にあるトヨタのエンブレムを加工してLED発光させている大馬鹿者がいました。
ヘッドライトはサイドミラーをそれぞれ反射し、エンブレムはルームミラーに反射し、三方から目くらましをくらいましたよ。
後方からくるバイクや自転車を巻き込まないために確認する3つのミラーが、全て使えない気持ちがわかっていただけるでしょうか。
街の人々の声にもあるように『眩しすぎる』『サングラスが欲しい』『迷惑』『事故の誘発』・・・これらは一部の人の声ではありますが、確実に多くの人が共通して感じていることだと思います。
だから私は、ヘッドライトのLED化をおすすめしないのです。
ヘッドライトLED化はアリ?メリットとデメリットと人々の声に注目のまとめ
今回は、ヘッドライトのLED化はアリなのかナシなのかについてまとめました。
車に関してLEDの利点としてあげられるのは『省エネ』の一点のみです。
あとは全くイイトコなしでしたね。
・HIDに比べて明るさを感じない
・雨の日は一層暗く感じる
・基盤を冷却する音がうるさい
・雪国では全く使えない
・車検に通りづらい
・対向車・歩行者・前方を走っているドライバーなどなど、あらゆる人に迷惑をかける
LEDをつけたいならば一度はつけてみればいいと思います。
自分の目にあっているのかどうかを自分の目で試すのが一番ではないでしょうか。
そして、LEDを特に悪いと感じなければそのまま使えばいいですし、やっぱり暗いと感じればハロゲンやHIDに戻せばいいだけのことです。
ただし。
元々は室内を明るく照らすために完成したLEDです。
現状では、車のランプ類に取り付けることを想定しておらず不向きであること、直進的に発光するLEDの光は周囲の人の目を眩ましていることを念頭に置いておきましょう。
安全を確保するためにつけるならアリかもしれませんが、ただの自己満足ならば自重しましょう。