この数年、お盆なのにお年玉をもらっている子どもを見かけるんだけど・・・。
それはお年玉ではなくて、『お盆玉』っていうのよ。
お盆に帰省した孫たちが、祖父母からもらうものなのです。
お盆玉は極々新しい風習であり、お盆の時期になると『おぼんだま』と書かれたポチ袋を見かけるようになってきました。
聞きなれない人にとっては、非常に不思議なワードに感じるかもしれません。
おぼんだまは、お盆バージョンのお年玉。
お盆玉とは、 里帰りしてきた孫や親戚の子供たちにあげるおこずかいのことです。
わたしたち親世代の小さい頃にはなかった制度ですよね。
親世代にはなかったお盆玉がじわじわと浸透し、全国的に流行りつつあるのです。
核家族化がすすんだことでおじいちゃんおばあちゃんにとっては、久しぶりに会える子どもや孫たちが帰省するお盆はとても楽しみなこと。
だからおぼんだまとして、おこずかいをあげることに違和感がないのかもしれない・・・おじいちゃんおばあちゃんにとっては。
だけど、おじ・おばの立場からすると「甥や姪にまであげる必要があるのか?」などという、疑問が生じているのです。
生活費を削ってまで・・・?
そこで今回は、どうして『お盆玉』という制度が始まったのか、そのルーツや全国的に知られるようになった原因についてご紹介していきます。
是非とも参考になさってください。
よろしくお願いいたします!
目 次
お盆玉は迷惑!由来なんてあるの?
わたしの子供時代には、お盆玉なんて存在していなかったけど。
どんな由来があるの?
確かにわたしたち親世代には『お盆玉』なんて制度はありませんでした。
一体どこのどなたが始めた制度なのでしょうか、甚だ疑問です。
実は、お盆玉のもとになるやり取りが、海外・・・ではなく日本国内に存在していました。
発祥とされるのは、江戸時代です。
当時の山形県の一部地域では、正月とお盆になると奉公人は商家のご主人から衣類や下駄などをいただいて帰省するという風習がありました。
奉公人というのは、住み込みで働きに出ている人のことで、ちょっとした単身赴任みたいなイメージです。
衣類や下駄は、ボーナスみたいなものです。
これが昭和初期頃になると奉公人だけでなく、子どもたちにまでおこずかいをあげる習慣へと変化していきました。
このときに渡されていたおこずかいは50銭くらいだったと言われているので、だいたい一日働いた分の日当に相当することになります。
たとえば時給1,000円で働いているなら、約8,000円分ももらえていたってことね。
これが、お盆玉のもとになっていると言われています。
お盆玉は迷惑!いつから始まった? 生まれたキッカケ
わたしもお盆には、おこずかいとして500円くらいのお金をもらったことはあります。
でもそれを『お盆玉』とは言わなかったし、かっこよくポチ袋に入っているってこともありませんでした。
それもそのはず。
『お盆玉』という言葉が生まれたのは、2010年のお盆からなのですから。
株式会社マルアイという企業が、夏の風物詩をデザインした『おぼんだま』ポチ袋を製造販売し、商標登録したことで存在するようになったのが始まりです。
2010年、無事に商標登録を済ませた株式会社マルアイだったのですが、発売当初は見るも無惨な結果だったそうですよ。
「なぜお盆にまでお小遣いをあげなきゃいけないの?」
「余計な風習を作るな」
世間の強い拒絶反応と、小売店からの好意的とはいえない反応に、お盆玉ポチ袋は全く売れなかったんだそうです。
それでも株式会社マルアイは諦めませんでした。
諦めてしまったら、そこで試合は終了だもんね。
「かりに3年間続けてみて、それでも結果に結びつかなかったときは潔く撤退しよう」と、ほどんど諦めモード、(株)マルアイの社員は耐える期間を設けたのでした。
耐え難きを耐え・・・。
そして、耐えに耐え忍んだ3年後の2013年、ついに実を結ぶ転機がおとずれました。
「お盆玉袋を置いていませんか?」
ついに!商品を取り扱っていた郵便局に、問い合わせが複数寄せられるようになったのです。
まさに、ファンファーレが鳴った瞬間ね♪
このことがキッカケで翌年の2014年、全国の郵便局で『おぼんだま』ポチ袋が窓口に並ぶようになり、一気に知名度を上げていったのです。
お盆玉は迷惑!ふざけんなの声相次ぐ
もらう子供は嬉しい限りですよね。
- 正月
- バレンタイン
- ひな祭り
- ゴールデンウイーク
- こどもの日
- お盆
- シルバーウイーク
- ハロウィン
- クリスマス
- 誕生日
などなど、一年を通してイベントが盛りだくさんなのですから!
おこずかいやプレゼントや豪華な食事ができるんだから、大喜びするに決まっています。
それに対して、提供する親のほうはどうでしょう?
共働きして、必死で毎日をやりくりしているっていうのに、そんな余裕はないわけです。
こうして目新しいイベントをひとつ、また一つと増やされたら溜まったもんじゃありませんね。
否定的な声
「これ以上の出費の機会を増やさないでほしい」
「(甥や姪に)いつもあげるばかりで、お返しも何もない」
「いらん風潮。風化することを切に願う」
「帰省する費用だけで精一杯。甥や姪にあげるお盆玉など余裕はない」
企業さんとしては大成功なのに、年金ぐらし・独身の社会人・子どもがいない夫婦などからは強い拒否反応を示す声が上がってしまっているね。
さらに、こんな切実な声も上がっています。
「自分以外の親兄弟が親戚の子どもたちにお盆玉を配っているから、あげなかったらケチ扱いされる」
ケチ扱いされるのは良くないなぁ。
一大事じゃん。
でも、冷静に考えてみてください。
お盆玉は別に義務というわけではないから、絶対にあげなければならないというわけではありませんよね。
この問題は、お年玉にも同じことが言えますよね。
しかし子どもは正直なので、感じたままを素直に口にしてしまうもので。
このような場合は、家族同士でしっかりと話し合わなければなりません。
そもそもお盆とは故人や御先祖様の霊を慰め供養する行事で、金銭のやり取りをする日ではないので、勘違いをしないようにしたいものですね。
とはいうものの、お盆玉は否定されるだけでなく、実は称賛される声も上がっているのも事実なのです。
肯定的な声
「いままでと違って、おぼんだま袋に入れるだけで格好がつく」
「おぼんだま目当てでもいいから、孫に会いに来てほしい」
「お盆で帰った時におぼんだま袋にお金を入れて渡したら、これまで断固として受け取ってくれなかったのに面白がってもらってくれるようになった」
生活に余裕のある祖父母や、里帰りをしたときにお金を渡したい場面で、おぼんだまは役になっているのです。
お盆玉は迷惑!由来は何?いつから始まった?ふざけんなの声相次ぐのまとめ
企業さんは、大成功。
一般的には、拒否反応が巻き起こっている。
裕福な家庭では、称賛されている。
賛否両論。意見はさまざまですね。
お盆玉は、景気が不況なときにぽっと湧いて出たお金がかかるイベントなだけに、渡す側としては本当に厄介であまり気持ちの良い習慣とはいえません。
しかし一部の人はお盆玉を上手に使用することで、お金のやり取りが上手くいっているのも事実だったりします。
要するに考え方次第で、ちょうどいい親戚づきあいができると言えるのではないでしょうか。
あげる場合のお盆玉の相場・・・といっても、お盆玉が誕生してまだ日が浅いので、特に決まりはありません。
お年玉と同じ額かそれよりも少なめが一般的です。
小学生・・・1,000円~3,000円
中学生・・・3,000円~5,000円
高校生・・・5,000円~10,000円
お盆玉は、必ずしもあげなければならないというものではありません。
「現金を渡さなければならない」と思うから、気持ちが収まらずモヤモヤしてしまうのです。
なので、現金の代わりに、本や図書カードやおもちゃなど、受け取る子どもの成長に役に立つものを渡すという方法もアリですよ。
おじちゃんおばあちゃんのあげるお盆玉は、久しぶりに孫に会えたという喜びの象徴。
まだまだ知名度が低いお盆玉制度だけど、ここから数年の間に浸透し定着するかもしれませんね。