
お葬式とか法事とか、お参りするときに手にかけている数珠なんだけど・・・
「数珠」っていう人もいれば「念珠」って呼ぶ人もいるでしょ?
なにか違いがあるの?
お数珠は、通夜式や葬儀式などに参列し、お参りするときに使われる仏具ですね。
通夜や葬儀に参列する機会はあまり多くはないものの、いざというときにもっていなくて困るものの代表格です。
なにを隠そうわたし自身、この記事を書くまで自分のお数珠なんて持っていませんでした。
それどころか親のお数珠を借りたり、手ぶらのままお参りしたりするなど、やらかし放題でした。

そんなお数珠。
たしかに「数珠」っていってみたり「念珠」っていってみたりするのをよく聞きます。
どこからどう見ても同じにしか見えない、数珠と念珠。
いったい、何がどのようの違うのでしょうか。

・・・数珠も念珠も、同じものよ
(あ・・・案内人さんが先に答えをいっちゃいましたね)
今回は、お数珠とお念珠のちがいや込められた意味、そして葬儀にふさわしくない数珠の存在についてまとめました。
葬儀にふさわしくない数珠?・・・何のために作られているのでしょう?
目 次
数珠と念珠の違いとは?
冒頭で案内人さんが教えてくれたとおり、お数珠とお念珠は、同じものを表しています。
わたしたちお参りする側からすると、単純に呼び方がちがうっていうことなんですよね。
たとえるなら、
- 自動車 → くるま
- かばん → バッグ
- 電柱 → 電信柱
- スマホ → 携帯電話
- くつした → ソックス
みたいな感じです。
明確にちがいがあっても、つかいわけなんてしてないですよね?そんな感じです。

じゃあ本当は、明確な違いがあるってこと?
じつは、あるんです。
お数珠とお念珠の明確なちがいは、お経を唱えているときにお坊さん自身が迷子になるかならないか、だったのです。
お数珠とは
もともとお数珠は、お坊さんがお経をあげるときに、どこまで唱えたかを記憶するために使っている仏具です。
おなじ文言を繰り返す宗派って「どのタイミングでお念仏をきりあげているんだろ?」って、不思議におもったことありませんか?
「うちは普段からあまりお参りしないから、お念仏を短縮されたんじゃないか」とか
「〇〇さんのとこは、お寺と繋がりが強いから多めにあげてもらってるんじゃないか」とか
すべてお経の長さはお坊さんのさじ加減・・・っておもったことありますよね。
そんなわけないじゃないですか。
どのお坊さんが誰のお経をあげても平等で、不公平があってはなりません。
そこで考えだされたのが、『お数珠』だったんですね。
お念仏を唱えながら、お数珠を回して珠の数を確認しているんです。

だから数珠の途中に、大きさが違う珠があったり、房がついていたりするのね
お数珠の名称が、『数を念ずる』とか『数を記す』とかからきているっていうのも、納得です。
お念珠とは
じつは、お経中に念仏をかぞえるひつようがない宗派があります。
その宗派のお坊さんが持っているものこそが、お念珠というわけです。
お数珠がお念仏を数える仏具にたいして、お念珠は人間の煩悩を消し去るためにひつような仏具なのです。
お念珠の輪に手をとおすことで仏様の世界と繋がれる、大切な仏具なんですよ。
★ お念仏を唱えるひとが持つのが『お数珠』
★ 煩悩が消えるように念ずるひとが持つのが『お念珠』
数珠・念珠にこめられる意味とは
お数珠・お念珠は、持ち主をまもる厄除けとされていて、一人一人の身代わりになってくれる仏具です。
だから本来ならお数珠は、葬儀や法事があるから持参するのではなく、肌身はなさず持ち歩くのが正解です。
たとえば、神社でお参りしたさいに『お守り』をいただき、かばんや車にさげてはいませんか?
常に持ち歩くことで、神様に守られている感じがしますよね。
お数珠も、そんなイメージです。

いわれてみればお守りって、キーホルダー感覚で持っていたっけ
日本人のほとんどが仏教を信仰しているはずなのに、なぜかお守りやロザリオを身につけたがります。
まずはご自身の宗派のお数珠・お念珠を持ち歩くようにしてみても、いいのではないでしょうか。
数珠・念珠の種類
お数珠には『本連数珠』と『略式数珠』があります。
本連数珠は、それぞれの宗派の正式なかたちのお数珠となり、108個の珠で組まれています。

人間の煩悩と同じだけの珠で組まれているのね
人間は幸せになりたいという欲をもっているがために、108個の煩悩に苦しめられます。
煩悩をもっていると、修行中は邪魔でしかありません。
邪魔なその煩悩を仏様が鎮めてくださるのですが、なんと、1つに対して1尊の仏様が担当してくださっているというではありませんか。
わかりますか?
ということは、お数珠の珠の108個って、煩悩を鎮めてくださる108尊の仏様を表されていたのです。

なんとなく108個の珠を繋げているんじゃなくて、ちゃんとした理由があるの
はなしを戻します。
本連数珠は別名『正式数珠』とも呼ばれ、その宗派を信仰する人のみが使用することが許されています。
煩悩の数の108個の珠をつないだものという点では、どの宗派も同じですが、珠の配置や房などの形式が異なっています。
なのでたとえば、信仰している宗派の房が気に入らないからといって、別の宗派の本連数珠を勝手に持つことはできないということです。
本連数珠は正式な数珠なので、おなじ宗派の通夜や葬儀にしか拝めないのかというと、その点は大丈夫です。
宗派がちがう方の、通夜や葬儀に参列することができないということはありませんので、ご安心ください。
信仰者 | 本連数珠 | 葬儀でも使用例 |
A宗派 | A宗派 | BとかCの宗派の葬儀に持参OK |
A宗派 | D宗派 | ←そもそも間違っているからOut |
略式数珠は、基本的に宗派を問わずに使うことができます。
珠の数も本連数珠からくらべると少なく、108個の半分の54個の構成のもの・3分の1の36個の構成のもの、などがあります。

略式の数珠は、本連数珠の108個を基準として、球数を減らして組むって感じよ
最近は多くの人が略式の数珠を持つようになりましたよね。
親戚関係の葬儀や法要では本連数珠を使用して、それ以外では略式数珠を使用するというように、使い分ける人も多く見受けられます。
数珠・念珠の色や石の種類
組まれる石によって色あいや表情が変わってきます。
基本的には使用NGのお数珠はありませんので、「これ!」と直感で選んでも問題はありません。
仏具店に行けば、いろいろな種類のお数珠が豊富に取りそろえてあります。
自分の好みのものやインスピレーションを感じる1本を、探してみてはいかがでしょうか。
迷うようなら
- 女性・・・水晶
- 男性・・・白檀/黒檀
無難な鈍い色のお数珠を選ぶとまちがいないかと思われます。
宗派としてお寺の指導や地域性がそれぞれ違うでしょうから、お坊さんや親戚などに相談すると安心ですね。
数珠・念珠の糸がきれたら
お数珠は『一生物』と考える人もいるようですが、年数がたてばつないでいる糸は劣化してきれてしまいます。
さきほどもご紹介したとおり、お数珠は人間の煩悩と同じ108個の珠をつないで作られた仏具です。
なので、その糸が切れるということは、悪い要素の因縁が切れたことを表しています。
糸がきれそうなっているお数珠を使い続けることは、縁起の悪いことではありませんので安心してくださいね。

糸がきれてしまった数珠は、どうしたらいいの?
糸が切れてしまったとしても、手放せないお数珠ってありますよね。
- 思い入れがある
- 大切な人の形見
そのような場合は、修理をして再びつかうことができます。
仏具店に依頼をするときれいに修理をしてくれますし、ご自身で糸を購入してついでも構いませんよ。
もしくは、切れたことをいい機会にしてお焚き上げで供養して、新しいお数珠を購入しても構いません。
お数珠は、一生のうちに何度か買いかえることを想定して、今の自分が欲しいと思うお数珠だったり、にあうお数珠だったりを手にしたらいいですよ。
数珠の赤い石は葬儀に使えない?
葬儀や法要で使えない数珠はありませんが、不向きとされる色が存在します。
サンゴなどの赤い珠の数珠です。
房まで赤いものもありますよね。
葬儀において赤い色は、血の色を連想させたりお祝いごとの色だったりとされているのでふさわしくありません。
しかし葬儀は悲しい儀式ある反面、仏弟子の新たなる門出・新しい生の始まりという意味として『お祝い』ともされています。
ただ様々な宗派の人が集まる葬儀では、使っても問題ない色のお数珠を持つことをおすすめします。
赤い数珠でも他人からすると『非常識だ』といわれ兼ねませんので、無難な色合いの数珠を使用するほうが良いでしょう。
お寺の関係者でも 、赤い房のお数珠はお祝いごとのときにしか使わないと言われています。
赤い珠は葬儀のための数珠にするのではなく、日々時々の心乱さないためのものとして使用すると良いでしょう。
たとえ大切な人の形見だとしても、赤色のお数珠は通夜や葬儀にはふさわしくないとされてしまいますので、気をつけましょう。
数珠と念珠の違いと込められた意味とは?赤い石は葬儀に使えない?のまとめ
お数珠とお念珠のちがいは呼び方だけで、基本的には同じものを指していることがわかりました。
葬儀のときに意味もわからずに握っていたお数珠が、じつは持ち主をまもる厄除けの役割を果たしていたとは・・・。

目からウロコがポロポロですぅ~
1本数千円ていどで手に入りますので、早速購入し肌身はなさず持ち歩きたいものですね。
お数珠は粗末に扱ってはなりませんので、持ち運ぶさいはお数珠専用の『念珠袋』に入れるのが常識です。
房がぐちゃぐちゃにならないように、かばんの中に入れておくようにしましょう。
常に持ち歩いておけば、突然の訃報が舞い込んできたとしても、「数珠を忘れた!」なんてことはなくなりそうですよね。
案内人メモ
クラック水晶は、人工的にヒビを入れてキラキラさせた水晶です。
すでに半分割れている状態ということです。
お参り中に、軽くぶつけただけでも欠けたり割れたりしてしまう恐れがありますので、仏具店ですすめられても候補からははずしたいお数珠です。
あなたのお数珠も、タンスの引き出しや喪服と一緒に大切に保管されていませんか?
お数珠はお守りです。
これを機にお数珠を落ち歩き、仏様のご加護を受けましょう。
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