お中元は夏のご挨拶、お歳暮は年末のご挨拶ともいわれており、日頃お世話になっている方へ感謝の気持ちを表すと共に、『これからも変わらないお付き合いをお願いします』という思いを込めた贈り物ですよね。
喜んでいただくのは当然のことではありますが、最低限失礼のないようにマナーは守りたいものです。
感謝の気持ちをお届けする、時期は重要です。
しかし、初めてお中元やお歳暮を贈ろうと考えている人にとっては、「いつごろまでに贈るのが正しいのか・・・?」なんて、迷ったりするものです。
お中元を贈る時期は、地域によって大きく異なります。
お歳暮も地域によって違うのですが、お中元ほど複雑ではありません。
そこで今回は、お中元とお歳暮を贈る最適な時期を、地域別にご紹介したいと思います。
忙しくしていて、つい「贈る時期を逃してしまった!」という場合のマナーについても触れていきます。
ぜひ参考にしてください。
目 次
お中元・お歳暮を贈る時期を地域別一覧で解決!
まずは、お中元とお歳暮の送る時期を一覧表でまとめました。
地 域 | お中元の最適な時期 | お歳暮の最適な時期 |
北海道 | 7月15日~8月15日 | 12月10日~12月20日頃 |
東 北 | 7月初旬~7月15日 | 12月10日~12月20日頃 |
関 東 | 7月初旬~7月15日 | 12月初旬~12月20日頃 |
北 陸(都市部) | 7月初旬~7月15日 | 12月10日~12月20日頃 |
北 陸(その他地区) | 7月15日~8月15日 | 12月10日~12月20日頃 |
東海・関西・中国・四国 | 7月中旬~8月15日 | 12月10日~12月20日頃 |
九 州 | 8月1日~8月15日 | 12月10日~12月20日頃 |
沖 縄 | 旧暦の7月15日まで | 12月初旬~12月25日頃 |
お中元を贈る最適な時期
お中元の送る時期をしばしば勘違いしている人がいるということなので、これだけはお伝えしておきますね。
お中元の品物は、贈る側の時期で考えるのではなく、受け取る側の時期に合わせるのが正解です。
例えばわたしが、九州の人間だったとします。
九州地方のお中元の時期は一覧表でもあるように、8月1日~15日までです。
そんな人が、「九州では8月が常識だから、東京の親戚にも8月10日くらいまでに送れば問題ないやろ」と、考えたとします。
だけど、受け取る東京の人からしてみれば、「関東のお中元は7月15日までなのに、一ヶ月も遅れて・・・非常識な人ね」と、疑われかねません。
『郷に入れば郷に従え』ではありませんが、
お中元の品物自体がその地域に届いたとき(郷に入れば)、その土地の風習でお中元の品物としての意味を成す(郷に従え)と考えるようにしておきましょう。
お中元の時期は、九州地方と沖縄以外は7月15日をさかいに、前半か後半かにわかれていることが一覧表からわかりますよね。
ということは、7月15日頃に到着するように発送手続きをしておけば、なんの問題もないということになります。
こんなふうに覚えておくと、記憶に残りやすいかもしれません。
・九州は8月前半で、ちょっと時期が遅い
・沖縄は、かなり特殊な時期
お中元を贈る時期はなぜ違う?
お中元の贈る時期が地域によって異なっているのは、今と昔で使っている暦が違うことに関わってきます。
・今の暦・・・太陽暦(新暦・西暦)
昔の暦とは
それまで日本は、月の満ち欠けを基準とした『太陰暦』を採用しており、夜空に浮かぶ月の形で「今日が何日だ」ということを判別していました。
今となっては難しそうに感じる太陰暦ですが、当時の日本人してみると、月の形で日付を読むというのは朝飯前だったということです。
ただ、とても便利だった太陰暦にも大きなデメリットが存在しました。
それは、ひと月の日数が29.5日しかなかったということです。
現在採用している太陽暦のひと月といえば、2月を除けば、30日ないし31日で構成されていますよね。
それが29.5日ともなれば、いずれは季節にズレが生じてくるというもの。
そこで編み出された手法が、数年に一度、13月というものが出現する『閏月』を作るというものでした。
単純に計算すれば、1年間の日数が10日程度足りていないわけですから、3年に一度の周期で13月を作れば、万事解決するはず。ですよね。
太陰暦を使っている日本において、暦と季節を合わせるには閏月はなくてはならないものだったのですが・・・。
ここに、役人の給料が絡んでくるのです。
太陰暦から太陽暦へと変更したわけ
お中元の時期のズレの話は、冗談のような本当の話が潜んでいました。
というのも、明治4(1871)年9月、年俸制をとっていた役人の給料が月給制へと変更されたばかりでした。
わかりやすく例えれば、年俸12万円だった人の給料が、毎月1万円となったわけです。
一年分をまとめてもらうのも12回に分割してもらうのも、さほど変わらないように感じますが、そうじゃなかったんです。
年俸制だと12万円で済む給料が、月収制になったことで閏月の年だけ13万円(1万円多い)の支給になってしまうのです!
役人としてはラッキーとなるところですが、支払う国としては大打撃をうけることになるから、さぁ大変!
だって役人って言っても、一人や二人という話ではないですからね。
そして、その閏月は明治6年にやってくる予定でした。
そんな理由から、明治5(1872)年11月9日にバタバタ太陽暦(新暦・西暦)が施行されたのでした。
年の瀬がせまった11月に急遽決まった太陽暦のせいで、人々は大混乱に見舞われたそうですよ。
ゆうても、明治5年12月2日が大晦日となり、翌日3日が明治6年1月1日となったのですからね。
お中元のズレが生じた理由
関東などでは時代とともに、新暦となる太陽暦が生活の中に浸透して一般化したため、お盆やお中元なども新暦の7月に行うことが定着していきました。
しかし関西などの地域までには及ばなかったため、未だにお盆もお中元も旧暦で行われています。
縦に長い日本列島、今のようにネットで情報共有もできていない時代ですから、新暦が全国に浸透することが難しかったのでしょうね。
そのため、地域によってお中元の贈る時期が異なっているのです。
大きく分けると東日本は7月15日までに、西日本は8月15日までに、お中元の品物が届くように贈るようにしておけばOKです。
悩んだときは、7月15日に届くように手配すると間違いありませんね。
九州は一ヶ月遅れ、沖縄は特殊で旧暦の7月15日を新暦にあてはめて毎年確認が必要です。
お歳暮を贈る最適な時期
お歳暮は、お中元ほど複雑ではありません。
なぜならお歳暮は、年末のご挨拶として贈る感謝の気持ちを表した品物だからです。
年末は日本全国、どの地域に住んでいても12月31日ですからね。
ただし、贈る時期が若干異なっているため、すべての地域で共通する12月10日~20日を目安にするといいでしょう。
お中元・お歳暮の時期が過ぎてしまった時のマナー
上記の一覧表でも分かるとおり、お中元においてもお歳暮においても、お贈りする期間は非常に短いですよね。
毎日を慌ただしく過ごしている現代において、うっかりはつきものです。
両親や自分の誕生日でさえ忘れてしまうことがあるわけですから、お中元・お歳暮だって忘れることってありますよ。
そんなときは、こんなふうに対処するようにしましょう。
・お歳暮・・・『御年賀』『寒中見舞』
うっかり忘れて贈るのを忘れてしまっても、暑中見舞いや寒中見舞いとして贈ることで解決します。
大事なのは『日頃の感謝の気持ち』を、丁寧なご挨拶で伝えることにあるのですから、実際はガチガチに型にはめて時期を守らなくても大丈夫ですよ。
お中元に代わる暑中見舞いと残暑見舞いの時期
暑中見舞い・・・立秋(8月7日or8日)まで
残暑見舞い・・・立秋(8月7日or8日)~8月31日まで
お歳暮に代わる御年賀と寒中見舞いの時期
御年賀・・・・・松の内(関東:1月7日)(関西:1月15日)まで
寒中見舞い・・・松の内~立春(2月4日頃)まで
お中元・お歳暮を贈る時期を地域別一覧で解決!遅れた時のマナーものまとめ
お中元を贈る時期は地域によって異なります。
九州を除いた地域においては、7月15日に品物が先方に届くように準備をすると良いですね。
九州地域へは、その一ヶ月くらい遅れることを目安にしましょう。
沖縄は特殊で、太陰暦の7月15日と決まっていますので、毎年確認することをおすすめします。
また、お歳暮も地域によって贈る時期が若干異なりますが、12月10日~20日の間でしたら全国共通となっています。
贈る時期はマナーとして守るべきではありますが、『相手への感謝の気持ち』を伝えることを優先するようにしましょう。