『ささの葉~さらさら~♪』
七夕が近づくと、あちらこちらで耳にする歌ですね。
幼稚園や保育園の園児たちが大きな声で元気よくお歌の練習をしていたり、小学生の子供たちがリコーダーを吹いていたりします。
浴衣を着せてもらって、短冊に願い事を書いて飾り付けた幼い頃を思い出して懐かしい気持ちが甦ります。
あの頃はただただ楽しくて力いっぱいに歌っていた『たなばたさま』ですが、今、口ずさむと意味が気になってきます。
『のきばにゆれる』『きんぎんすなご』『ごしきのたんざく』・・・どんな意味が隠されているのでしょう。
そこで今回は、童謡『たなばたさま』の歌詞の謎を解き明かします。
目 次
童謡『たなばたさま』の歌詞のおさらい
1941年(昭和16年)、文部省発行の『うたのほん 下』に掲載された歌になります。
作 詞:権藤はなよ (ごんどう はなよ)
補作詞:林柳波 (はやし りゅうは)
作 曲:下総皖一 (しもふさ かんいち)
1、ささの葉さらさら のきばにゆれる
お星さまきらきら きんぎんすなご
2、ごしきのたんざく わたしがかいた
お星さまきらきら そらからみてる
たなばたさまで使われる単語の意味
この歌の中には、古い言い回しや難しい言葉の表現が使われており、意味が把握しにくい部分がいくつかあります。
一番の『のきばにゆれる』と『きんぎんすなご』、二番の『ごしぎのたんざく』の三か所です。
一つずつ順番に謎を解いていきます。
のきばにゆれるの『のきば』とは?
のきばとは、漢字表記すると『軒端』と書きます。
文字通り、軒の端っこという意味で、家の屋根の張り出したひさしの部分をさします。
昔は現在とは違って、平屋の一軒家が多かったので、庭先や玄関先に七夕飾りをしていました。
庭に飾ったささの葉が、さらさらと風に揺られている情景を思い浮かべることができますね。
きんぎんすなごとは?
「きんぎんつなご」?
わたしはずっと金と銀を繋ぐと思っていました。
こちらも漢字表記してみると、『金銀 砂子』となります。
現代ではあまり耳にする言い回しではないですね。
砂子とは金箔や銀箔を細かい粉にしたもので、伝統工芸品などでよく使われています。
蒔絵や襖絵、色紙などに吹き付けて装飾を行うものです。
金箔や銀箔のように、夜空に浮かぶ天の川が光輝いていて美しい様子を表した言葉になります。
ごしきのたんざくとは?
ごしきのたんざくの漢字表記は『五色の短冊』となります。
七夕は元々、中国から伝わったものになります。
五色とは、古来中国の陰陽五行思想に由来するもので、この世のものは『陰・陽』の二気と『木・火・土・金・水』の五行で成り立っていると考えられていました。
木は青(緑)、火は赤、土は黄、金は白、水は黒(紫)の5色で表されます。
いろいろな色や、たくさんの種類の色という意味が込められています。
たなばたさまの歌詞の情景
童謡・たなばたさまの歌詞の情景を想像してみると、こんな風景が思い浮かんできます。
陽が陰り涼しくなった風にさらさらと揺られている
だんだんと暗くなった空には
金箔や銀箔を散りばめたようなお星さま(天の川)がきらきら流れて美しい
ささの葉に飾った色取り取りの短冊に願いを込めてわたしがかきました
雄大に流れる天の川は
そんな私たちを温かく見守っていてくれているかのように
きらきらと輝いている
こんな感じになるのでしょうか。
昔ながらの日本の情緒あふれる風景が目に浮かんでくるようですね。
童謡たなばたさまの歌詞全文公開中!のきば?すなご?ごしき?のまとめ
なんとなく口ずさんでいた七夕の歌の『たなばたさま』。
こうして歌詞の意味を知ると、こんなにも短い詩の中に私たちの気持ちや想いなどがギュッと凝縮されていたことがわかります。
どうですか?今年の七夕は、意味も分からず歌っていた昔を思い出し、懐かしみながら短冊に願い事をかいてみては如何でしょうか?