お中元やお歳暮は、日頃からお世話になっている人への『感謝の気持ち』と『これからも変わらずよろしくお願いします』という思いを伝える、大切な行事のひとつですよね。
しかしそもそも、お中元とお歳暮にはどんな由来があるのでしょうか。
どんな成り立ちがあって、こんにちのように『感謝の気持ち』を形にして贈るようになったのでしょうか。
実は、お中元とお歳暮は似たような習慣ではありますが、全く違う経緯をたどってこんにちに至っていました。
そして『お世話になった人』とは、どこまでの範囲のことを言うのでしょうか。
会社の上司・取引先・習い事の先生・結婚式での仲人さんなどなど、あげたらきりがないほど、私たちは多くの人にお世話になっていますよね。
「あの人に贈るなら、この人は外せないよね・・・」
なんて、贈る範囲に頭を悩ませてしまいますし、どれくらいの金額のものを贈るべきかも問題になります。
安すぎたら先方に失礼になるだろうし、かといって高額の商品だったら相手に負担になって、それも失礼にあたるだろうし・・・。
そこで今回は、お中元とお歳暮の由来をご紹介して、贈る範囲や相場などについてまとめました。
ぜひご参考になさってください。
目 次
お中元・お歳暮の由来とは?
お中元はお盆の少し前までに、お歳暮は年が暮れる前までに、お世話になった感謝の気持ちを伝える行事です。
気持ちを伝えるという意味では似ていますが、由来は全く異なります。
・お歳暮は日本古来の風習
それぞれの起源について、ご紹介します。
お中元にはどんな由来があるの?
先程もご紹介したとおりお中元は、古代中国が由来となっている文化です。
古代中国には中国三大宗教というものがあって、儒教・仏教・道教という3つの宗教がありました。
儒教・仏教・道教を、私たちの身近な宗教でわかりやすくたとえると、仏教・神道・キリスト教みたいな感じですね。
この、中国三大宗教のうちの道教には三官信仰(さかんしんこう)という神様がお生まれになった日を盛大に祝う、お祭りがあったのです。
三官信仰の三官が、三人の神様のことを表す言葉となっています。
・地官大帝は、人間の罪を許す神様・・・7月15日生・・・・中元
・水官大帝は、水害・災害を防ぐ神様・・10月15日生・・・下元
お中元は単体のものではなく、上元・中元・下元という三元のうちのひとつだったのです。
では、なぜ日本では中元だけが浸透して、上元と下元は広まらなかったのでしょうか。
中元は『人間贖罪の日』として、すでに人間が犯してしまった罪をお許しくださる神様の誕生日なので、一日中火を焚いて神様を祀るという盛大なお祭りが行われていました。
迷惑かけてしまったことを懺悔して、ご近所へ代償物を配るという風習もあったのだそうです。
そんな中元に比べると上元は『灯籠を灯す夜祭』、下元は『厄災を逃れるように祈る日』で、とても控えめな行事だったのです。
一方日本では、御魂祭(みたままつり)というのもがあり、お盆と年末の二回、ご先祖様の霊を祀る行事がありました。
古代中国で盛大に行われていた中元だけが伝わると、日本の御魂祭と共通していた7月15日で結びついたというわけです。
江戸時代には仏さまに供える供物を、親戚や近隣の人に感謝する気持ちを込めて贈り物を贈る習慣へと変化させ、今の『お中元』として贈答行事が広まったのです。
お歳暮とはどんな意味があるの?
お歳暮は、日頃からお世話になっている人へ感謝の気持を込めて、一年間の締めくくりに贈る冬の贈り物です。
お中元は中国由来のものでしたが、お歳暮は日本古来の風習がもとになっています。
室町時代には、お歳暮のもととなる習慣が確立していたと言われます。
日本にはお盆と年末の二回、ご先祖様の霊を祀る御魂祭(みたままつり)という行事がありましたが、特に年末の御魂祭はご先祖様と年神様にお供えするために親族を中心として品物を贈っていました。
嫁いでいった娘さんや、世帯を持って分家した次男さんなどが、本家や両親の家にお供え物を持っていくといった宗教的な風習があったのですが・・・。
江戸時代になると、長屋の大家さんが取引先への感謝の気持ちをこめて「これからもよろしくおねがいします」という、年末のあいさつ回りが定着していったそうです。
どちらかというと年末のあいさつ回りの方が影響して、いつしか、日頃お世話になった人に感謝する『お歳暮まわり』と呼ばれる年中行事が行われるようになったのです。
お中元・お歳暮を贈る範囲
成り立ちが全く違うのに、似たような風習として根付いた言ったお中元とお歳暮ですが、贈る相手にはどのような決まりがあるのでしょうか。
一般的に、目下の人が目上の人にむけて贈るのが基本となっています。
しかし誰に贈るのか、どこまで贈らなければならないのかという明確な決まりはありません。
日頃から、どれだけお世話になっているのかという、ようするに気持ちの問題です。
会社の上司・取引先・習い事の先生・両親・義理の両親・親戚関係・・・。
挙げればきりがないですが、あまりにも考えなしにあちらこちらに贈ってしまうと、のちのち自分の首を絞めることになってしまいます。
なぜならお中元・お歳暮は、一度贈ってしまうとやめるタイミングが難しくなってしまうからです。
たとえ一軒一軒に贈る金額が安くても、それが何十軒ともなれば大きな費用となって、家計を圧迫しかねます。
なので贈る相手は、次の3つを基準にするといいでしょう。
・続けて贈る気持ちがあるのか
・贈る相手に負担にさせないか
忘れがちになるのが、贈られる相手の気持ちです。
「そんなにお世話をしてないのに、頂いてしまったらこちらもお返ししなければ」と、逆に負担に思わせてしまうことになってしまいますね。
また、全く交流がない親戚にも贈る必要はないでしょう。
義理だけのやり取りでは、お互いが苦しくなりますよ。
お中元・お歳暮を贈る相場
お中元・お歳暮が感謝の気持ちを表すとはいえ、安すぎても高すぎても失礼に当たりますよね。
非常に気を使います。
一般的には、3,000~5,000円が相場となっていますが、それぞれのシーンをご紹介していきます。
親戚関係への相場
親族など親しい人へは3,000円程度が無難です。
結婚式でも、披露宴ステージからは一番遠い席となる一族ですから、気を使って奮発するような間柄ではありませんよね。
金額を重視するのではなく、相手の好みなどを考慮したものを選ぶようにすると喜ばれます。
友人・知人への相場
親族ほどではありませんが、友人・知人もまた、近しい間柄にあることから3,000円程度が一般的です。
会社・取引先関係への相場
会社の上司や取引でお世話になっている人への相場は、5,000円くらいを目安にしましょう。
特別にお世話になっているような関係になっていると、10,000円くらいの金額ということもあり得ます。
しかし、あまりにも高額のものを贈ってしまうと、あなたの常識を疑われかねません。
どんなに特別なお付き合いをしていても、10,000円を越えるような品物を贈るのは控えるようにしてください。
また、会社のルールとして『お中元やお歳暮を贈らない』という決まりがある場合があるので、必ず確認をしましょう。
贈らない決まりがあるのに、お中元やお歳暮を贈ってしまうと、かえって変な雰囲気になってしまいますので注意が必要です。
お中元・お歳暮にふさわしくないNG商品とは
お中元やお歳暮の贈り物としては、ふさわしくないNG商品があります。
どんなに役立つものでも、どんなに素晴らしい商品でも、先方からのリクエストがない限りは避けたほうが無難ですよ。
・刃物・風鈴などの割れ物・・・『切れる・壊れる』ことを連想させる
せっかくなら喜んで使ってもらいたいという気持ちはわかりますが、考えすぎて一捻りも二捻りもすることでドン引きされては、前代未聞ですよね。
親しい仲にも礼儀あり!です。
贈り物は、常識の範囲内で選ぶようにしてください。
お中元・お歳暮の由来とは?贈る範囲や相場の決め方とNGギフト!のまとめ
長年、お中元やお歳暮の意味などを考えたことはありませんでした。
こうして意味を知ってみると、本来は神様やご先祖様を祀る行事だったということがよくわかりました。
長い年月を経たことにより、お世話になった人に感謝の気持ちを表すものへと形を変えて受け継がれているのです。
そういうことからもお中元・お歳暮は、日本独自のコミュニケーションとも言えますよね。
しかし一度贈ってしまうと、毎年贈り続けなくてはならなくなってしまうという、ある種の恐怖も兼ね備えていますよね。
これから先も長くお付き合いが続くのか、贈り物を贈り続ける気持ちが持続しているのかを基準にしてすると、決めやすいですよ。
お中元・お歳暮は、これからも大切にしていきたい日本行事のひとつです。