大切な人が亡くなると遺された遺族は、通夜式から火葬・拾骨までと膨大なエネルギーを使います。
今、自宅の後飾り祭壇に遺骨を安置した状態で、ホッと息をついた瞬間ではないでしょうか。
仏教の教えだと故人の魂は、49日間この世とあの世の間をさまよい七日ごとに閻魔大王様の裁きを受けるとされています。
七日ごとの裁きを7回終えることで初めて、故人の魂の行き先が決まり修行の旅へと歩き出すのです。
49日を過ぎると遺骨はお墓や納骨堂に納めるのが一般的ですが、先祖代々のお墓が辺鄙な場所にあると・・・ちょっと躊躇してしまいますよね。
命日や月命日、お盆などの節目でお墓参りが困難になるからです。
できるだけ傍に、そして費用があまりかからない方法はないのでしょうか。
そこで今回は、49日過ぎた遺骨を辺鄙なお墓に入れず、自分の近くでなんとかする方法についてまとめました。
・納骨せずに自宅でこのまま保管してはいけないの?
・樹木葬や散骨などを含め、永代供養をする方法は?
・現代で流行りのペンダントなどに加工して肌身離さず持っている方法は?
その疑問にお答えします。
目 次
納骨しない人続出!自宅保管は違法になる?
冒頭でも述べた通り49日を過ごしたあと、遺骨はお墓や納骨堂に納めるのが一般的です。
しかし現代、納骨をしないと言う選択をしている人が急上昇してきました。
理由は人によって様々ですが、毎日を一生懸命生き抜いている現代人にとって生活していくだけでもお金が必要なのに、お墓の維持費が負担になるというのが最も多く聞かれます。
また、お墓自体が辺鄙な場所にあることで、高齢となった家族や体が不自由な人にとってお参りすることが困難であるというのも、高齢化社会となった現代の深刻な問題となっています。
生きている人間を優先とした時、お墓に納骨しないという考えが増えてきたのです。
自宅保管は違法にはならない?
『納骨しないと故人の魂が成仏できない』と心配になる人がいるようですが、49日間に渡り裁きを受けた魂は、既に次の世界へと旅立っていますので『成仏できない』ということはありません。
その点に関してはご安心くださいね。
遺骨の取扱について、墓地・埋葬に関する法律があります。
『遺骨を埋葬したり納骨する場合は市区町村が認めた納骨堂でなければならない』
これは、市区町村が認めていない自宅の庭先や山などに、遺骨を納めてはいけないという意味で、犯すと立派な犯罪となります。
しかし、必ずしも遺骨をそこに入れなければならないという意味でもありません。
遺骨を『埋める』のは違法ですが、『自宅保管』は埋めるわけではありませんので違法にはならないのです。
しかし取扱には最善の注意が必要となります。
焼骨特有の匂いが気になったり、カビの問題も出てきます。
実質的に考えると、永久に自宅保管することは難しいですし将来的に困るのは明らかです。
納骨するのに、いつまでしなければならないというルールはありませんので、心の整理がついた時点で、納骨されることをおすすめします。
納骨しない人続出!流行りの樹木葬や散骨や永代供養ってどうなの?
夫婦揃って同じお墓に入り、安らかな時間を過ごすのが理想的ではありますが、家族事情などで「同じお墓に入りたくない!」という人も増えてきていますね。
そういった人は生前、自分の埋葬する場所を予め選んでいることがあります。
『樹木葬』や『海洋葬』です。
それぞれのメリット・デメリットを見ていきますので、費用面などで考慮してみましょう。
樹木葬とは
樹木を墓標としてパウダー状にした遺骨を埋葬する形態をいい、『ひとりに対して一本の樹木を植えるタイプ』と『一本の樹木を植えた区画に複数の遺骨を埋葬するタイプ』があります。
墓石を作らないため自然環境に優しい
永代使用料・管理費が比較的に低く設定されている
生前に購入が出来る
承継者がいなくなれば永代供養をしてもらうことが可能
区画が限定されているため、好きな場所に埋葬できない
増設は不可能なため、追加で埋葬する場合は新たに購入の必要がある
海洋葬とは
パウダー状にした遺骨を海に散骨する形態をいいます。
散骨する際、遺族だけで乗船するプランと合同で行うプランがあります。
必要な費用は最初だけで、管理費などの支払いがない
遺族に負担をかけることがない
宗教に関係なく誰でも利用可能
海でお墓参りをする際は、船のチャーターに費用がかかる
永代供養墓とは
お参りすることが出来ない人、してくれる人がいなくても代わりに寺院が責任をもって、永代にわたり日々の供養と管理を行っていく墓地のことです。
多くの方と同じ墓あるいは納骨室に安置されることから『合祀墓』・『合同墓』・『合葬墓』などと呼ばれます。
永代使用料・管理費が比較的に低く設定されている
基本的に毎年納めるような管理費・お布施は発生しない
生前に購入が出来る
遺骨の返却ができない
区画が限定されているため、好きな場所に埋葬できない
増設は不可能なため、追加で埋葬する場合は新たに購入の必要がある
それぞれに良し悪しがありますね。
一般的なお墓や納骨堂に納める良い点としては、そこにお参りすれば故人と対面でき気持ちの拠り所となるでしょう。
しかし、維持費などが遺族の負担となってしまいます。
一方永代供養は、費用がリーズナブルになっているので生活を圧迫することがありません。
しかし、遺骨との対面が出来なくなってしまう分、気持ちの上で喪失感に苛まれる場合があります。
後悔のない選択をするように、遺族間でじっくりと話し合って決めましょう。
納骨しない人続出!ペンダントして身につけておくのは大丈夫?
数年前から流行っているのが、遺骨をペンダントやブレスレットなどに加工して傍に置いておく、というものです。
実際にインターネットで検索してみると、たくさんHITしますよね。
価格は数万円~数百万円とピンキリです。
一見すると、『故人と別れたくない』『大切にしたい』という遺族の優しさが形となって表れたように見えますね。
何よりパッと見が遺骨とは思えないしオシャレです。
こうして業者が存在している以上、遺骨をアクセサリーに加工することは可能です。
しかし、このアクセサリーをお守りにする人以外は扱いに困ることになりますよ。
そもそもお祀りする対象を、いつも身につけるべきではないということをご存知でしょうか。
例えば遺骨を位牌に置き換えて考えてみてください。
位牌を首からぶら下げるでしょうか?
トイレの時はどうしますか?
チェーンが切れて落としてしまったらどうしますか?
取り返しがつきませんよね。
昔の人は故人を土葬していました。
これは『土葬で体の全部を土に還し、魂は浄土へ往生する』という意味が込められていました。
現在は土に還しやすいようにと、火葬することが義務付けられていますね。
遺骨に魂が残っているわけではありませんが、故人の最後の名残であって、遺体の一部なのです。
そう考えると、遺骨をアクセサリーに加工することは祀ることにはならず、安易に身につけることは間違いだと、気づくのではないでしょうか。
むやみに捨てることは出来ません。
粗末に扱うことも出来ません。
仕舞い込んでなくしてしまうなんて、罰当たりですよ。
まだ時間はありますので、故人を大切に思うのであればアクセサリーにすることを断念される方が賢明です。
納骨しない人続出!自宅保管は違法になる?永代供養やペンダントは?のまとめ
いかがでしょうか。
本来ならお墓や納骨堂に納めたいという気持ちもあるのでしょうが、その後の維持費などを考えるとどうしても頭を悩ませてしまいます。
故人が安らかに眠れるように、そしてあなた自身に後悔がないように埋葬方法をしっかりと考えましょう。
しかし、遺骨をペンダントなどのアクセサリーすることは控えたほうが良さそうです。
私自身も、両親の遺骨から指輪に加工しようと考えていましたが、街中で落としたり、部屋のどこに置いたかわからなくなってしまったりしては可哀想過ぎだと気づきました。
住職に読経して頂けるのであれば、永代供養もアリかもしれませんね。