脱水症。
非常に怖い症状です。
なんと言っても、のどの乾きを多少だったら我慢できてしまうので、しらずしらずのうちに命を危険に晒してしまうことがあるんですよね。
特にご高齢の方々には注意が必要ですね。
・趣味がない
・運動もしない
・家から一歩もでない
こういう『動かない生活スタイル』だと、汗をかいている実感がありません。
なので、徐々に体が乾燥していっていることに気づきにくく、水分補給をおこたってしまいます。
また、汗をかきにくい若者も然りです。
そこで今回は、どの程度の水分を失うとどんな症状が現れるのか、どのような対処をすべきかをご紹介いたします。
そして、意外と知らない正しい水分補給の仕方についてもまとめました。
ぜひ、ご参考になさってください。
目 次
脱水症状の段階
脱水症状を、分かりやすく判断するため3段階に分けます。
・中等度の症状
・高度の症状
脱水症の重症度と体重減少は大きく関連しています。
細かく見ていきましょう。
軽度の脱水症状
軽度の脱水症状とは初期段階で、体重減少が5%未満にとどまった状態です。
自分で動くことができるので、次の症状があらわれたときは経口補水液で水分補給をしましょう。
一気に飲まずに、時間をかけてゆっくり飲むようにするのがポイントです。
体重減少 | 症 状 |
1% | 大量の汗をかく・のどの渇きを感じる |
2% | のどの渇きを強く感じる・眩暈や吐き気・ボーっとする・重苦しい・食欲減退・血液濃縮・尿量減少・血糖濃度上昇 |
3% | 汗が出なくなる |
4% | 全身脱力感・動きが鈍る・皮膚の紅潮・いらいらする・疲労感・吐き気・精神不安定・無関心 |
- 判断
親指の爪をギュッと握って白くし、ぱっと離したときに再び赤くなるまでの時間が1.5秒以下だと軽度の脱水症と判断できます。
中等度の脱水症状
中等症になると動くとこがだるくなり、眠くなったり興奮したりします。
中等度の段階に入ると病院に行く必要があります。
体重減少は5~10%です。
体重減少 | 症 状 |
6% | 手足の震え・ふらつき・体温、呼吸、脈拍の上昇・頭痛・混迷・熱性抑鬱症・熱性こんぱい |
8% | 幻覚・呼吸困難・眩暈・チアノーゼ・言語不明瞭・疲労困憊・精神錯乱 |
- 判断
親指の爪をギュッと握って白くし、ぱっと離したときに再び赤くなるまでの時間が1.5~3秒だと中等症の脱水症です。
高度の脱水症状
高度の脱水症になると、体を動かすことができなくなり意識が曖昧になります。
手足が冷たくなり非常に危険な状態となりますので、早急な病院の受診が必須となります。
体重減少は10%以上です。
体重減少 | 症 状 |
10~12% | 筋痙攣・ロンベルグ徴候(閉眼で平衡失調)・失神・舌の膨張・譫妄および興奮状態・不眠・循環不全・血液および血液減少・腎機能不全 |
15~17% | 皮膚がしなびてくる・飲み込み困難(嚥下不能)・目の前が暗くなる・目がくぼむ・排尿痛・張力損失・皮膚の感覚鈍化・舌がしびれる・眼瞼硬直 |
18% | 皮膚のひび割れ・尿生成の停止 |
20% | 生命の危機・死亡 |
- 判断
親指の爪をギュッと握って白くし、ぱっと離したときに再び赤くなるまでの時間が4秒以上もかかる場合は高度の脱水症となっています。
人間の体の60%は体液
大前提としてわたしたち人間は、60%が体液でなりたっていることを知っておかなければなりません。
体液には、水分と電解質がバランスよく配合されていて、体中を巡っています。
主に、
・リンパ液
・尿
・唾液
・粘液
・消化液など
のことをいいます。
体液はわたしたち人間が生きていく上で必要不可欠であり、これらはすべて、腎臓という臓器によって一定量に保たれています。
なので、大量に汗をかいたり、下痢・嘔吐が続いたりしたときに、適切な水分補給がされないと『脱水症状』を引き起こしてしまうのです。
体内の水分が急激に失われると血液量が低下し、体の循環機能に異常が発生します。
機能の低下を起こすことで、前章で紹介したようなさまざまな異常が現れます。
・めまいをおこす
・食欲減退など
また、体液中の電解質を失うことで、体液濃度のバランスを取ることができなくなります。
電解質不足は、しびれや足がつるなどといった症状が現れます。
体液が激減しないように、適切な量とタイミングで水分補給することが大切なのです。
正しい水分補給・理想の水分補給
たった4%の水分が減少するだけで、わたしたちは正常でいられなくなってしまいます。
脱水症は、絶対にあまく見てはいけない症状です。
では、脱水症にならないようにするためにはどうするのか?・・・というと、やはり水分補給にほかなりませんね。
一般的に
「一日に1リットルの水分補給が必要だ」
「いや、2リットルは飲む必要がある」
「のどが乾かなくても水分補給が必要」
などといわれていますが、水分補給にも正しい飲み方というものがあります。
たとえば、2リットルのペットボトルの水を一気飲みしたところで、『2リットルの水分補給をした』ことにはなりません。
適切な量の水を、適切なタイミングで飲むことが大切です。
適切な量の水とは1,200ml
先ほどもご紹介したとおり、わたしたちの体液の量は、腎臓のはたらきによって一定にバランス良く保たれています。
体液が少なくなれば脱水症となるし、多すぎてもむくみの原因となるのです。
では、どんな分量を飲むのが一番良いのでしょうか。
答えは、『体から出した分だけ摂り入れる』です。
わたしたちは毎日、おおよそ2,500mlの水分を体から排出しています。
・尿などの排泄、1,500ml
・呼吸、500ml
単純なはなし、体から出ていった2,500ml分だけの水分を補えばよいのですが・・・、必ずしも『2,500mlの水を飲む』必要はありません。
実は普段の食事などで、1,300mlの水分は自然と補えているからです。
・体内でつくる水分、300ml
体から出す2,500ml - 自然摂取する1,300ml = 水分補給1,200ml
ということで、水分補給に適切な量は1200mlとなるのです。
もちろん、よく汗をかく人はそれにあわせて補給する水分量を調節する必要があるので、お間違いなくです。
適切なタイミングとは?
一日に補給する水分は1,200mlです。
ではその水分をどのように摂るべきでしょうか。
一気に飲んでもいいのか?・・・というと、それはよくない飲み方です。
正しくは、8回に小分けするのが最適なタイミングといえます。
1,200ml ÷ 8回 = 150ml
150mlは、コップいっぱいよりやや少なめの量です。
水分補給する最適なタイミング8回とは、
・朝食
・小休憩
・昼食
・小休憩
・夕食
・風呂上がり
・寝る前
です。
『小休憩』は、食事と食事の中間くらいを目安にするとわかりやすいですね。
おおよそコップいっぱいの水を、上記のタイミングで摂ることをおすすめします。
■ なぜ150mlを8回に分けて飲む必要があるの?という疑問を解決
たとえば、おしっこを「今日一日分をまとめて1回で出しきります」という人はいないですよね。
朝起きて・・・とか、出勤前に・・・とか、小分けしてだしますよね。
これは腎臓の処理能力が関係していて、腎臓を通った血液をろ過し、不要な老廃物を膀胱に送り込むという仕組みによるものです。
ある程度、膀胱に溜まったら尿として排泄しているのです。
なので、水分補給するときも同じように、出した分だけを飲むようにするのがよいとされます。
適量とされる150ml以上の水を飲んだ場合、腎臓はこんな風に考えて行動します。
「適量は150ml」
「それ以上の水分は不要」
「だから余計な水分は全部おしっことして排除する」
水分を脂肪のように、からだのどこかに蓄えておくというわけにはいかないので、今が必要なければ処分されるのです。
汗をかいたら、飲む
しゃべったあとは、飲む
体から水分が出ていったあとのタイミングで、水分補給するようにしましょうね。
■ ちなみに
水分補給の『水分』とは、単純に液体を流し込めないいとうわけではありません。
しばしば、コーヒーやアルコールで水分補給をしたつもりになっている人をみかけますが、コーヒーやアルコールには利尿作用があるため、補給した以上の水分を排出させることとなり逆効果です。
お茶にも利尿作用があるので、水分補給には、水・WATERかお白湯を飲むようにしましょう。
脱水症原因の水不足は○%までOK?3段階の症状と理想的な水分補給法のまとめ
いかがでしたでしょうか。
脱水症は、本人が気づかないうちに進行している場合が多いものです。
救急車で搬送される場合は、ほとんどが重度の脱水症に陥っています。
水分が失われると、血液濃度が高くなります。
血液がドロドロの状態になると血行不良を起こし、体調不良だけでなく、脳梗塞や心筋梗塞などを誘発する可能性も高くなります。
命を守るためにも、水分補給がいかに大事かということがよくわかります。
水分補給をするときは1回の分量を多くするのではなく、少量の水分を8回にわけて飲むのが重要です。
小分けして水分補給する理由として150ml以上は腎臓から『不要』と判断され、おしっことして出してしまうからです。
『こまめな水分補給』・・・、伊達じゃありません!!