
成人式といえば“大人としての第一歩をふみだす特別な日”よね。
一生に一度しか経験することができない正真正銘特別なイベントだもの、絶対に後悔はしたくないはずだわ。

「みてみて!成人式の振り袖♡キレイ・・・」

絶対に後悔したくないもののひとつが、参列するときのドレスコードなのよ。
未婚女性のドレスコードは、もっとも格式の高い正装の『振り袖』・・・なんだけど・・・。
近年では、こんな声がおおく聞かれるようになってきたのよね。
「振り袖は苦しいし歩きにくいし、面倒だからイヤ!」
「親におしつけられる振り袖は着たくない!」
「みんなと同じ格好はイヤ!」
「同じ和装するなら、動きやすく目立ちやすい袴のほうがいい!」
確かに着物っていうと日本固有の民族衣装でありながら、普段から着慣れていないぶん動きが制限されるし、苦しさを感じるしで・・・なんだかな~って感じがするわよね。
「わたしは自分の成人式は、袴にしようかなぁ~って思ってるの」


袴は振り袖と違って、スカートのように身につけるから、
- 歩きやすい
- はだけにくい
- デザインが豊富でかわいい
と、三拍子そろっていて、需要があるのは理解できるんだけど・・・。
「でも、成人式に袴って・・・OKなの?」
そんな疑問が沸きあがってくるんじゃないかしら?
和装で動きやすいんだけど、なんだかんだ振り袖のほうが成人式の場に馴染むというか・・・、袴って大丈夫?って不安になっちゃうわよね。
そこで今回は、『成人式に袴で出席する女性はありか?なしか?』について解説していくわね。
袴姿だと周囲からどんなふうに見られているのか?、についてもご紹介するわ。

一生に一度しかむかえることがない成人式よ。
ドレスコードで後悔のないようにしてね。
目 次
成人式の式典で袴姿の女性は変? ~なしの考え~

まず成人式を絶対に後悔したくないなら、女性の袴姿は『なし』よ。
なぜなら成人式が式典という形式に則っており、おごそかに執り行われている儀式だからよ。
「式典という形式? 儀式?」

そうなの。
成人式っていうからわかりにくくなってしまうから、たとえ話をするわね。
あなたが、友人の結婚式にお呼ばれされた風景を想像してみてほしいの。

結婚式にお呼ばれされるということは、新婦はあなたにとって大事な・・・極めて大事な友人のはずよ。
極めて大事な友人=親友が主役の結婚披露パーティーに、あなたは袴姿で参列するかしら?

「結婚式に袴姿で出席はおかしいかな?」
「袴姿だと披露宴にそぐわないかな?」
「親友に恥をかかせてしまわないかな?」
今のあなたのように、袴姿で結婚式に参列することに不安や迷いが生じるはずだわ。
その不安や迷いとった気持ちこそが、式典に参列するドレスコードにおいて、女性の袴姿がふさわしくないという証拠なの。

というよりも、結婚式において袴姿で参列するのはマナー違反なのよ。

マナー違反じゃ恥をかかせてしまうよな・・・、大切な友人に。
結婚式も成人式も、同じ『式典』というくくりに属するの。
成人式は公式で祝福される儀式の場、式典。
これから大人の仲間入りをするんだと自覚し気を引き締める場、式典。
一生に一度しか訪れない、大切な1日なのよ。
だとすると大人である以上、大人のルールを踏みはずさないドレスコードで式典に臨むのが、最低限のマナーじゃないかしら?
「成人式は、大人への第一歩を踏み出す最初の日。
大人としての振る舞いをするのが礼儀ってわけか」

それでも人生晴れの成人の日に、「振り袖を着たくない」という女性が増えてきているのも、まぎれない事実なのよね。
振り袖を着たくないという女性のいい分

女性にとって憧れの振り袖の、反対派の意見を聞いてみましょ。
「私は普段からボーイッシュな服装をしているので、女性らしい姿をするのが恥ずかしい」
「ほかの人たちと一緒のかっこうをするのが嫌!とにかく目立ちたいの!」
「わたしはスポーツをしているので体つきがガッシリタイプ。なので振り袖がにあわない」
「袴は持っているし、普段から着慣れているので。経済的に」
人によってさまざまな思いがあるようね。
色や柄をシックなものにすれば、同じ和装でも女の子っぽさを抑えられて、振り袖がにあわないと思っている人にとってはうってつけの装いになるわね。
費用の面でも、振り袖はレンタルを利用しても20万円前後の費用がかかるけど、袴だったら5万円前後と、約4分の1の値段におさえることができて経済的だわ。
もちろん、かなり目立つ存在になること間違いなしよ。

似合わないと思っているのに、わざわざ振り袖を着る必要はないよねー・・・はるか。

なぜボクに振るんだ?みちる。
ふふっ。
わたしたちの成人式は、嫌がるはるかを・・・むりやりわたしが連れ出したのよね。
あの日のはるかは、誰よりも可憐で美しく素敵だったわ。
一見すると袴は『振り袖を着たくない』という悩みを見事に解消してくれているんだけど、でも礼装には値しないから式典には不向きなのよ。
成人の式典に袴が不向きな理由
「ここまでの解説を聞く限り袴フルボッコね。どうしても成人式には不向きなのね」

振り袖は礼装だけど、袴はカジュアルスタイルだからよ。
ここでは『袴』とは、どんな位置づけの服装なのかというところを解決していくわね。
袴とはもともと男装(パンツ)スタイルということを念頭に置いて、わたしの話をきいてね。
260年以上も続いた江戸時代が終わって、新時代・明治時代が訪れると、あちこちで多くの女学校が相次いて創立されたの。
女子だって多くのことを学び、さまざまな分野で活躍する知識や技術を習得するという女子教育が確立していったのが、この時代よ。
しかしここで、大きな問題が発生したわ。
これまでの『畳に座る』スタイルから『椅子に腰かける』という授業スタイルに変化することで、着物姿だと裾がはだけやすくなってしまったの。
「これでは授業に集中できない」「女生徒たちの制服をどうしたものか」と、多くの学校が頭を悩ませていたんだけど。
制服がはできる問題を解決に導いたのは、なんと、政府だったの。
政府が特例で、次のような御触れを出したのよ。
「女学生にかぎり袴の着用を認める」
そう、女学校にかよう女性のみに「袴を着用してもいいよ」と、政府が特別に取り計らってくれたの。
間違えちゃいけないのが、あくまでも袴は男性の装いっていうこと。
だけど女学校の生徒に限り、動きやすい男装を許可したの。
この御触れによって、女学校にかよう生徒の袴姿が制服として定着していったわ。
明治時代・大正時代の女学校において活動的な女生徒の制服だったという歴史があるから、女性の袴は、学業のうえでは礼装として扱われてきたの。
いうなれば、女性の袴姿は学生のシンボルのようなものなのね。

その名残りで、現在の大学でも女性の袴を礼装と認め、卒業式には華やかな袴姿で式典に臨んでいるってわけなの。
「女性の袴に、そんな歴史が・・・。袴は、大学での教育が終了したという証なのね」

改めて結論・成人式に袴姿の女性は変
以上のことからもおわかりのとおり、袴は男性の装い。
女性の袴姿が許されるのは、学生の制服だった歴史により、大学の卒業式のみなの。
「なるほどね~。てことは、成人式での袴姿は変じゃん!」

成人式は学業とはまったく関係なし。
成人式は、子ども時代を卒業する儀式じゃなくて、大人の仲間入りをする節目の儀式よ。

大人のマナーとしては、成人式で袴を着用するの子供っぽすぎるわね。
成人式の式典で袴姿の女性はかっこいい? ~ありの考え~
成人式に女性の袴はNGだと解説してきいたんだけど、ここからはOKの解説もしていくわね。
「さんざんフルボッコにしといて、やっぱり着用OKってどういうこと?」

実はお手元に届く案内状には、ドレスコードに関してはなんの記載もされていないのよね。

記載されている内容は、こんな感じよ。
- 参列の対象者
- 開催される会場
- 会場の住所
- 開催の日時
- 式典の内容
どこをみてもドレスコードについて記載がないのであれば、なにを着ていっても構わないという解釈もできるわね。
「そういう観点からすると、成人式で袴を着用するのはアリってわけか」

大人の対応としては、はなはだ疑問に感じるけどね。
でも近年の成人式には厳粛さが薄れていて、『自分のための記念日』だと思っている人が非常に多いように感じるのはわたしだけじゃないはず。

あぁ、あのド派手な装いで大暴れしている集団のことか・・・。
あの醜態を世界に晒しているのかと思うと、恥ずかしすぎるわ。
でも彼らの言い分は、自分の記念日なんだから「自分自身が満足し後悔しない格好をする」んですって。

世も末ね。
地域によっては「目立った者勝ち」とばかりに、派手な装いで大暴れをする新成人も見受けられるし。
振り袖で出席している新成人も最上級の礼装という意識ではなく、単に豪華で思い出に残るから着ているという人が増えてるし。
そう考えると、奇抜な柄だったりダラシなく着崩したりしなければ、女性の袴姿も問題ないといえそうだわ。
成人式で袴を着用する注意点
ただし女性の袴姿は、妊婦さんだと思われる可能性があるので注意しなければならないわ。
着物に帯の姿は妊婦さんにとって、お腹の中の子供を圧迫する装い以外の何者でもないんだから。
袋帯で締めつける振り袖よりも、袴の方が母体には負担にならないですし、なによりお腹の膨らみを隠す効果があることから妊婦さんには大変人気がある装いなのよ。
じっさいに妊娠していなくても、お腹の中に子供かいるのかいないのかは、周りの人にはわからないんだから。
第一礼装の紋付き羽織袴だったら?

紋付き羽織袴は、列記とした第一礼装であり正装となる和服よ。

でもそれは、男性にとっての第一礼装よ。
一般的な第一礼装となる袴だろうが、女性用の袴だろうが、女性が着用する袴は第一礼装とはなり得ないわ。
袴はあくまで男性の礼装であると理解し、女性が着ると男装にしかならないと納得できるのであれば問題はないわね。
ただし、厳かに執り行われる式典には極めて似つかわしくない装いとなりますので、好奇の目で見られる覚悟は必要かもしれなくてよ。

ここまでくると、もうコスプレの域じゃないか。

はるかったら、的確な表現ね。
成人式の式典で振り袖が好ましいとされる理由
そもそもなぜ成人式に、第一礼装である振り袖を着用することが好ましいとされているのかをご存知かしら。
「大人の仲間入りする儀式で、式典に出席するからですよね?」

それもそうなんだけど。
成人式が『冠婚葬祭』の『冠』に当たる格式高い行事の一つだからなのよ。
『冠』は、元服のことをさすわ。
元服の『元』は首(頭)を表し、『服』は着用を表し、元服とは『頭に冠をつける』という意味なの。

むかしのこども時代の男児は、肩まで伸ばしていた髪をポニーテールのように後頭部で結っているわよね。
その髪を元服によって、大人と同じように頭頂部にまとめあげる髪型へと結い直すの。
その頭には、成人の証となる『冠(烏帽子)』を被るの。
冠をいただき社会的な役職を得ることで、青年から一人前の大人として認められるのが『元服の儀』であり、これこそが成人式に由来しているのよ。
かつては12歳~16歳になった男子が、成人したことを示す儀式として執り行っていたわ。
「むかしの人は、12歳で大人の仲間入りを果たしていたのね」

古き良きを重んじるのが我が国、日本の誇りよ。
成人式をただの形式的な儀礼と軽んじるのではなく、大人になるということをもっと重く受け止めるといいわね。
そうすれば、どのような格好で式典に臨むのがふさわしいか、おのずと答えが見えてくるはずよ。
成人式式典に袴姿の女性はおかしい?袴はありかなしか?紋付き袴は?のまとめ
「袴姿ってかわいいけど、卒業式の服装だから成人式には不向きだってわかったわ」

不向きというよりはNGといっても過言でははいね。
同じ和服であっても振り袖と袴では用途が違うし、質も位も格もまったく違うの。
ちゃんと「大人になります」という自覚があるならば、袴はNG。
一方「ドレスコードがないから」とか「自分の記念日だから」とか、こどもっぽい考えが抜けきれないならば、袴はOKよ。
今がよくても将来、思い出を振り返ったときに「わたしだけ卒業スタイル」「やっぱり振り袖にしとけばよかった」と後悔するかもしれないわ。
過去は変えられないんだから。

若々しくてフレッシュな二十歳という時間は、まさに『今』しかないのよ。
結婚してしまうと「振り袖が着たい」と思っても、着られなくなってしまうわ。
少しくらい窮屈に感じても、似合わないと思っていても、成人式には第一礼装の振り袖で出席することをおすすめするわ。
ステキな成人式になることを、祈っているわね!
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