夏の夜空に広がる壮大な天の川は、多くの人々にとって幻想的な光景ですね。
天の川といえば七夕。七夕といえば天の川。
でもさ、七夕っていっつも晴れてないんだよね・・・。
毎年、天の川を観測しようと心待ちにする天文ファンが多い中、日本の七夕は梅雨の時期まっただ中。
晴れ間って、めちゃくちゃ少ないんですよね。
ちなみに、過去60年間の七夕のお天気は以下のとおりです。
- 晴 れ 18回
- くもり 26回
- 雨 16回
七夕の晴れの確率:30%
しかし最も美しい天の川を観測するための最適な時期・方角・場所の3つを知れば、もう天候なんかに左右されることはありません。
最適な時期・方角・場所。知りたいですっ!
今回この記事では天の川観測の最適な時期と、観測する際の最も見えやすい方角、そして天の川を観測するためのベストな場所の条件について詳しく解説します。
さあ、一緒に夏の夜空へ旅立ちましょう!
よろしくお願いします!
目 次
天の川観測は7月ではなく8月が最適!
結論からいうと、快適に天の川を観測できるのは8月です。
7月も天の川が見られる時期ではありますが、8月の夜空のほうが天の川をよりクリアに美しく見せる観測条件がととのっています。
じつはコレ、地球の自転と公転の関係が大きく影響しているのです。
先輩、質問です!
そもそも天の川って、なんですかぁ?
天の川とは、わたしたちの太陽系が属する銀河系の一部を夜空に見ることができる現象です。
帯状に集まった無数の星たちは、天の川銀河の中心部を見ているのです。
太陽系と天の川銀河を図にすると、こんな感じの位置関係になっています。
地球が属する太陽系は天の川銀河のなかにあり、地球は自転をしながら、太陽を中心に公転しています。
おぉ!なんだか壮大な話になってきたぁ!
そして地球が太陽のまわりを公転する軌道において、天の川銀河の中心部にもっとも近づくのが8月です。
つまり8月は、天の川銀河の中心部が南の空にもっとも高くのぼる時期であり、観測するにはもっとも適していることになるのです。
さらに地球の自転により日没後すぐに天の川が姿をあらわし、長時間にわたって観測が可能になるというわけです。
また、8月は多くの地域で天候が安定し空がクリアになる日が多いため、観測条件が良好なのです。
天の川観測は8月が最適な理由
くり返しになりますが、地球は自転しながら太陽のまわりを公転しています。
7月の夜といえば、天の川銀河の中心部は夜遅くまたは明け方近くに、もっとも高くのぼります。
これにより天の川を観測する時間帯が限られ、明け方の短い時間しか観測できないことが多いのです。
たとえば7月中旬の夜10時頃だと、天の川銀河の中心部はまだ地平線の下にあります。
これが上がってくるのは深夜から明け方にかけての時間帯であり、その頃にはすでに夜明けが近づいて空が明るくなりはじめます。
7月の天の川は夜が深まった時間に、ようやくのぼってくるって感じなのね。
だから天の川の観測がむずかしいのか。
一方8月になると公転により地球は天の川銀河の中心部に一番近い場所へとすすみ、自転により天の川銀河の中心部は日没後すぐに南の空に高くのぼりはじめます。
8月中旬の夜10時頃には、天の川の中心部がすでに高い位置にあり観測するのに最適な時間帯となります。
これにより夜の間ずっと天の川を楽しむことができ、観測条件が大幅に改善されるというわけです。
天の川の最適な観測時期が8月ってのは納得できたけど・・・。
だったらなぜ、七夕=天の川みたいな構図になっているんだろ?
それはね、新暦を使っている現在の8月が旧暦7月7日に当たるからなのよ。
1872年(明治5年)まで日本は『太陰暦/旧暦』を採用していましたが、交易などで不都合が生じたため欧米の『太陽暦/新暦』に改暦したのです。
旧暦・明治5年12月3日が、新暦・明治6年1月1日に
ということはつまり旧暦の7月7日は、新暦の8月5日となるわけです。
このことからも、天の川をもっとも美しく観測するためには、8月が最適な時期である言えるでしょう。
8月の夜空に広がる天の川は、まるで絵画のように美しく、忘れられない体験をあたえてくれますよ。
天の川観測に適した方角
8月に天の川を観測する際には、南から東の方角にかけて見ることがもっとも重要です。
夏の大三角形を基準にすると天の川を見つけやすく、その美しさを最大限に楽しむことができます。
天の川は銀河系の中心部がもっとも明るく美しい部分で、夏の夜空では南の方角に位置しています。
特に、8月の夜にはこの中心部が南の空に高くのぼるので、見やすくなります。
天の川のもっとも美しい部分をとらえると、南の空から東の空にかけて広がっている全体像が楽しめます。
まずは南の空の、夏の大三角形を探せばいいのね。
夏の大三角形は、夜空で見つけやすい3つの明るい星で形成されています。
こと座のベガ(織姫星):北の空で一際明るい星
わし座のアルタイル(彦星):ベガの南東に位置する明るく見える星
はくちょう座のデネブ:ベガの北東に位置する星
この3つの星で大きな三角形を形成します。
夏の大三角形を見つけたら、その中を流れる天の川を探しましょう。
天の川は南から東へ向かって夜空を横切るように伸びていて、夏の大三角形の中をとおり抜けています。
天の川の中心部が位置するこの部分は特に明るく、星々が密集していて、まるでミルクをこぼしたような淡い光の帯として見えます。
はくちょう座のデネブのあたりは特に明るく、たくさんの星雲や星団が確認することができます。
これらが天の川の美しさを一層引き立て、東の空まで続いていている壮大な全体像を楽しむことができます。
ベガとアルタイルは織姫と彦星だから、天の川の端と端で輝いているのね。
はくちょう座のデネブは2人をつなぐ架け橋だから、天の川の中心で輝いているのよ。
『七夕伝説・・・織姫と彦星のちょっぴり切ないラブストーリー』も合わせてご参照ください!
天の川を観測する場所の条件
天の川の観測は、南の空を見上げるだけでは難しいです。
天の川を美しく観測するためには、光害が少なく、空が開けている場所を選ぶことが重要です。
これにより、天の川の微細な部分までしっかりと観測することができます。
光害って、なぁに?
光害とは、都市部や街灯などからの人工的な光のことをいいます。
人工的に作り出した光が夜空を明るく照らし、星の観測を妨げる原因となっているのです。
天の川は淡い光で構成されているため、光害が強い場所では見えづらくなり、その美しさを十分に楽しむことができません。
したがって、できるだけ光害の少ない場所を選ぶことが重要です。
美しい夜景も、天の川観測には害でしかないってわけか。
光害は夜景だけではありません。
月の光も天の川観測には弊害となってしまいます。
天の川は薄雲がかったような姿をしていますので、とくに満月の夜は絶望的にかき消されます。
また、空が広く開けている場所であれば、天の川全体を視界に収めることができます。
たとえば、都市部から離れた山間部や海辺などは、光害が少なく天の川観測に最適です。
具体的な場所としては、北海道の大雪山国立公園や、長野県の美ヶ原高原、沖縄県の石垣島などが挙げられます。
これらの場所では、夜空が暗く、天の川の細部までしっかりと観測することができます。
また、地平線近くまで広がる天の川を一望することができ、その壮大さに圧倒されるでしょう。
余計な光をシャットアウトし、開けた空が最適な観測ポイントです。
街の灯りが少ない場所にいけば、天の川の細部までがくっきりと見えます。
南の空にあるいて座を中心に、密集した星々が輝いているのがわかるでしょう。
その光の帯が東の空へと伸びていく様子は、夜空に広がる巨大な川のように見えます。
肉眼でもその淡い光の帯が確認できますが、双眼鏡や望遠鏡を使うと、さらに多くの星々や星雲が見えてきます。
さらに欲をいえば、標高の高い場所は空気が澄んでおり視界が良好なため、天の川観測に適しています。
たとえば、富士山の五合目や阿蘇山の山頂などです。
山頂は光害が少なく、晴れた夜には天の川がはっきりと見えるため、多くの天文ファンが訪れるスポットとなっています。
また、キャンプ場や天文台などの施設が整っている場所では、観測機材を使った詳細な天体観測も可能です。
天の川の時期は8月が最適!肉眼で観測する方角と見える場所を伝授!のまとめ
天の川を観測するためのポイントをおさらいしましょう。
- 最適な時期:8月
- 最適な方角:南から東の空
- 最適な場所:光害がなくて空が開けている場所
8月が最適な理由は、地球が銀河の中心部に一番近い場所にあり、夜も長く観測条件が良好だからです。
とくに20時~22時のあいだは、天の川銀河の中心部が南の空の高い位置に出現しているのでオススメです。
夏の大三角形を目印に、天の川のもっとも美しい部分が南の空から東の空に向かって広がっています。
観測場所の条件としては、光害が少なく、月の光もない空が開けている場所を選ぶことが重要です。
これらのポイントを押さえて、夏の夜空に広がる天の川の美しさを存分に楽しんでください。