織姫と彦星の関係と別れた理由とは?七夕伝説と雨の日に会えない物語

夏に関すること

朝の光がカーテンの隙間から差し込み、部屋の中をやわらかく照らしている。

スマホをいじりながらソファに寝転んだ寝ぼけ眼の俺の隣に、トスンと腰掛けてきた透真が声をかけてきた。

白石
白石

ねえ陽翔。

織姫と彦星って、どうして別れちゃったのかな?

天澤
天澤

んー、仕事サボったんじゃない?

白石
白石

それ適当すぎ。

でもさ、1年間も会えないなんてすごく辛いよね。

天澤
天澤

まぁ確かに。

俺だったら絶対に無理、耐えらんないわ。

白石
白石

じゃあ、もし陽翔が二人みたいに1年間会えないってなったら、どうする?

七夕物語と聞いて、織姫と彦星が7月7日の夜にデートを楽しむロマンチックな日・・・なんて考える人が多いでしょう。

でも冷静に考えると、たしかに、なぜ『一年に一度しか会えない』のでしょうか?

いくら遠距離恋愛とはいえ、恋人同士だったら無理をしてでも会いたいと思うものではないでしょうか。

俺は透真の真剣な表情に一瞬ドキッとしたが、すぐにおどけたように答える。

天澤
天澤

んー、1年間か・・・、俺だったら透真の夢に毎晩出てやるかな。

『俺のこと忘れるなよ』って。

白石
白石

夢だけで我慢できるの?

天澤
天澤

いや、無理だな。

雨だろうと嵐だろうと会いに行く。

雨雲どかしてでも会いに行くよ。

透真がいない1年なんて耐えられないし。

白石
白石

もう、そういうのズルいってば。

折れてしまいそうはほどの華奢な透真を、俺はやさしく抱き寄せた。

愛し合っている二人が、好き好んで離れ離れで暮らすわけがありませんよね。

実は織姫と彦星が遠距離をしているのには深い深い原因があり、7月7日以外には会えない理由があったのです!

ということで今回は、織姫と彦星の関係と一年に一度しか会えない理由、そして、七夕の日が雨模様だったら二人はどうなるのか?についてまとめました。

あなたの周りにもこんな人、いませんか?

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織姫の彦星の関係を解説!七夕物語に隠された真実

俺の肩口にもたれかかった透真が、ポツリと呟く。

白石
白石

でもさぁ、なんで離ればなれになっちゃったんだろ?

天澤
天澤

そんなの知らなくても良くない?

ふたりが会える日があるってだけでロマンチックじゃん。

白石
白石

そうだけど、理由があるから会えなくなったんでしょ?

気にならない?

透真はやさしい。

物語の中の恋人が引き裂かれた理由にまで一喜一憂しちゃって。

織姫と彦星って、実は恋人同士ではないってご存知ですか?

愛し合っている二人が天の川の対岸で暮らしていて、七夕の日だけ川が浅瀬になってデートできる・・・なんて、そんなロマンチックな話でもないのです。

天澤
天澤

あ、あった。

このサイトにふたりの馴れ初めが紹介されてるっぽいよ。

白石
白石

陽翔ぉ、ありがとぉ。

それでは『七夕物語』を紹介しながら、二人の関係性を見ていきましょう。

昔むかし、天を支配する天帝が住んでいました。

天帝にはそれはそれは美しい娘がおり、名前を織姫といいます。

 

織姫は機を織って、神さまたちの着物をつくる仕事をしていました。

織姫の作る着物は、色も柄も美しくて着心地がよく、とても丈夫で素晴らしいものでした。

 

しかし自分の身なりを構うことはせず、異性と出会うこともせず、毎日熱心に機を織るだけの暮らしをしていた織姫。

そんな娘を不憫に思った天帝は、織姫にこういいました。

「織姫、毎日仕事ばかりではかわいそうだ。お前ももう年頃だ。私がお婿さんを探してやろう」

そして世界中を探してみつけたのが、天の川の西岸で牛を飼っている若者・彦星だったのです。

 

彦星は毎日、天の川で牛を洗ったりおいしい草を食べさせたりと、休む間もなくよく牛の面倒をみる働き者の若者でした。

 

「お前たち二人は実に真面目でよく働く。彦星よ。私の娘と夫婦にならぬか?」

彦星はとても恐縮した様子で、

「私のような者には夢のようなお話です。ありがたくお受け致します」と、快諾。

 

織姫も彦星を一目で気に入り、二人は大変仲の良い夫婦となりました。

そうなんです。

織姫と彦星は恋人同士ではなく、婚姻関係となる列記とした夫婦だったのです。

天澤
天澤

お父さんが結婚相手決めるって、いまなら大問題だな。

白石
白石

まあ、昔の話だからね。

でも親が決めた結婚でふたりは幸せだったのかな?

天澤
天澤

『大変仲のよい夫婦となりました』ってなってんだから、幸せだったんじゃないかな。

どこのご家庭でも父親は娘の結婚に反対するものですが、神さまの世界では考えかたが違います。

娘・織姫の幸せを願い幸せな家庭を築いてほしいと、父・天帝自らが結婚相手を探してくるのですから。

めっちゃ羨ましい世界です。

天帝が見つけてきた働きものの彦星。

相思相愛の夫婦のあいだに、一体何が起こったのでしょうか。

続きをみていきましょう。

織姫と彦星が一年に一度しか会えない理由とその教訓

白石
白石

幸せだったはずなのに・・・、なんで離ればなれになるんだろ?

天澤
天澤

あー・・・、俺の考えが的中・・・。

サボりだってさ。

白石
白石

え?仕事しなくなったってこと?

天澤
天澤

・・・みたい。

しかし仲が良すぎるのも困りもので、二人は仕事そっちのけで天の川のほとりでおしゃべりばかりするようになったのです。

 

「織姫様が機織りをしないのでみんなの着物が古くてボロボロです。何とかしてください」

天の神様たちは困り果てブーイングの嵐。

 

彦星の牛たちも世話を全くしてもらえず、どんどん痩せ細っていきました。

 

これを知った天帝は、二人に仕事をするようにいうのですが、

「はい、明日からやります」

のらりくらりと返事をするばかりで、二人はいつまでたっても仕事を始める気配がありませんでした。

 

そしてついに堪忍袋の緒が切れた天帝は、織姫と彦星を引き離すことにします。

「仕事もせずに遊び呆けおって!お前たちは天の川の西と東で離れて暮らすが良い!」

 

天帝の逆鱗に触れ彦星と会えなくなってしまった織姫は、悲しみのあまり毎日泣いて暮らすようになってしました。

そして彦星もまた寂しさのあまり家の中に閉じこもり、牛たちの世話をする気力もなくなり、ついに牛たちが病気となってしまいました。

 

まさかこんな状況になろうとは・・・。

見るに見兼ねた天帝は二人にこう提案したのでした。

「二人が以前のようにきちんと働いてくれるなら、月に一度、会うことを許そう」

 

「本当ですか!年に一度、彦星の会ってもいいのですね」

織姫が失意の中に聞いた天帝の提案の『月に一度』を、『年に一度』と聞き間違いをしたのは痛恨のミス。

天帝もこれを訂正することなく頷いたのでした。

 

こうして心を入れ替えた二人は、たった一度の再会を楽しみに、これまで以上に仕事に精を出して働いたのでした。

 

やがて、待ちに待った7月7日の夜を迎えると、織姫と彦星は天の川を渡って再会を果たしデートを楽しみました。

白石
白石

仕事をやめてしまうくらい、お互いに夢中になったってことだよね。

それって少し切ないけど、ステキな気もする。

天澤
天澤

透真がそういうなら、まあロマンチックなのかもね。

でもさ、仕事と恋愛のバランスくらい取れたんじゃない?

白石
白石

まあ、そうかもしれないけど・・・。

一生懸命働く娘のためにみつけてきたお婿さん・彦星が、結婚することで遊びほうけてしまうなんて。

天帝からすると、予想外だったんですね。

それ以上に誤算となったのが、娘・織姫もまた、彦星にうつつを抜かして仕事をしなくなったことではないでしょうか。

これまで異性と付き合うことなく仕事一筋だった二人なわけですから、その反動ってこともあるでしょう。

仕事を放棄してしまうほど、お互いが魅力的な存在だったことは間違いありませんね。

それでも、まったく働かないというのは如何なものかと思います。

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白石
白石

たださ、衝撃だったのがココ。

『織姫が月一を年一と聞き間違え』て、『天帝がそれを敢えて訂正しなかった』ってことだよ。

天澤
天澤

訂正するのが面倒だったんじゃない?

白石
白石

面倒って・・・。

それで年に一回しか会えなくなったんだよ?可哀想すぎるよ。

本気で寂しそうな顔をする透真の手を握り、頭をやさしく撫でてやった。

それにしても週末婚ならぬ七夕婚(?)は、二人に活力を与え真面目に健全な生活を送る要因となったようですね。

七夕の日が雨だとどうなる?天の川とカササギの橋の物語

白石
白石

だってさ、もし雨が降ったら水かさが増して再会できないって言うでしょ。

せっかくの七夕なのに・・・。

天澤
天澤

うーん。

あ、でも大丈夫っぽいよ。

白石
白石

本当!?どうして?

俺にもたれかかっていた透真が急にからだを起こし、目をキラッキラに輝かせながら見つめてきた。

確かに雨の降る日は天の川の水かさが増して渡ることができず、二人は再会できないと言われています。

その悲しい涙が雨となって降り注いでいるとも言われていますね。

自業自得ではあるものの、せっかくのデートの日に雨で邪魔されたら可哀想すぎます。

しかし雨が降る日も、二人はちゃんとデートすることができていました。

七夕の日に降る雨を、催涙雨といいます。

古くから、日本ではこの雨が織姫と彦星の涙だと語り継がれてきました。

しかし催涙雨は決して、悲しい涙というわけではありません。

ふたりが再会できた喜びの涙、一方でふたたび離ればなれになる悲しみも同時に感じている涙と言われています。

さらに面白いのは、この雨がふたりの再会を助けているという説です。

白石
白石

催涙雨・・・、初めて聞いた。

天澤
天澤

俺も初めて。

再会の嬉し涙と、別れの悲し涙と、再会を助ける雨・・・だってさ。

織姫と彦星が会うためには、天の川をわたる必要がありますよね。

でも、川幅が広すぎてふたりだけでは渡れません。

そこで、カササギという鳥たちが翼を広げて『橋』を作るのですが、雨が降るとその水滴が翼にたまり、よりしっかりとした橋になると考えられていたのです。

つまり催涙雨はふたりの涙でありながら、再会を支える大切な存在でもあるのです。

この物語を知ると、七夕の夜に雨が降っても「残念だな」と思うどころか、「ふたりが無事に会えたんだ」と少し嬉しく感じられるかもしれませんね。

白石
白石

雨が降っても、ちゃんと会えるんだね。

それが知れただけで安心した。

天澤
天澤

透真、めっちゃ感動してるけど、もしかして俺たちのこと重ねて考えてない?

透真は少し頬を赤らめながら、控えめに頷いた。

織姫と彦星のことを心配しているのかと思いきや、俺たちのことを重ねて今にも泣きそうな顔になっている透真が愛おしく感じた。

7月7日、雨が降るとどこからともなく群れをなして飛んでくるカササギ。

羽をつらねて橋渡しをしてくれているカササギ。

このカササギは、天の川をへだてて西と東にある織姫(ベガ)と彦星(アルタイル)を繋ぐ、翼を広げた白鳥(デネブ)のことです。

もともとこの『七夕物語』は中国が発祥で、白鳥がカササギに見立てられているのではないかとされています。

夏の大三角形の『ベガ・アルタイル・デネブ』が関係していると知ると、実際に天の川を観察してみたくなりますね。

織姫と彦星の関係と別れた理由とは?七夕伝説と雨の日に会えない物語、のまとめ

七夕物語は、織姫と彦星の愛と試練を描いた切なくも美しい伝説です。

働きものだったふたりが結婚後に仕事を怠けたことで天帝の怒りを買い、離ればなれにされるという展開は、愛の力と責任を考えさせられます。

しかし、一年に一度だけ会える許しを得たふたりの再会は、多くの人々に希望とロマンを与え続けています。

さらに、雨の日にはカササギが橋をかけて二人を助けるという話は、困難な状況でも助け合う力の大切さを教えてくれます。

七夕は、そんなふたりの物語を通じて愛や努力の大切さを思い出す特別な日。

星空を見上げながら、織姫と彦星の物語に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

★おまけ★

七夕の夜、静かに更けていく時間の中で—。

白石
白石

陽翔、今日は本当に特別な日だよね。

天澤
天澤

うん、七夕だしな。

織姫と彦星も今頃デートしてるんじゃない?

白石
白石

そうだな。

でも・・・やっぱり一年に一度しか会えないって、なんだか切ないよ。

透真は窓の外を見つめながら、遠い夜空に思いを馳せている。

天澤
天澤

透真、俺たちは毎日会えるだろ?

それに、雨が降ってもカササギが橋をかけてくれるって話も知ったじゃん。

白石
白石

うん、そうなんだけど・・・。

俺は透真の手をそっと握り、真剣な目で言葉を紡いだ。

天澤
天澤

もし一年に一度しか会えなくても、俺はその日を待つよ。

どんなに長い時間でも、お前に会えるなら、それだけで十分だ。

白石
白石

・・・陽翔。

天澤
天澤

それに、雨が降ったって俺は絶対に会いに行く。

お前を待たせたり、寂しい思いなんかさせたりしないから。

透真は思わず、俺の胸に飛び込んできた。

白石
白石

そんなこと言われたら・・・泣いちゃうよ、ばか。

天澤
天澤

泣くなよ、透真。

俺はずっと、お前の傍にいるんだから。

ふたりはしばらくそのまま寄り添い、夜空を見上げる。

星たちが優しく瞬き、ふたりの未来を祝福しているかのようだった。

今年の七夕の夜も短冊に願いを込めて七夕飾りをしながら、織姫と彦星が天の川を無事に渡って再会できることを祈りましょう。

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