『椎間板ヘルニア』といえば、老化現象の一つとして多くの中高年が腰痛を訴える病気でしたが、今は若い世代にも症状が表れるようになりました。
若者の間で流行っているヘルニアは腰ではなく『首』の方で、名称は『頚椎椎間板ヘルニア』といいます。
●『肩甲骨内側の痛みが左側だけ!何科を受診する?根本的な原因とは!』もご一緒にご参照ください!
原因がパソコンとスマートフォンの普及によるものであることは、ご承知の通りですね。
「まさか、自分に限って!」
そんなことはありません。
人間の頭部は、ボーリングの球と同じくらいの重さがあると言います。
ボーリングの球を木の枝に突き刺し、斜めに傾けると木の枝はしなりますよね。
コンクリートの棒に突き刺していたら、長年受けるボーリングの球の重さのストレスに耐えかねて折れてしまうかもしれません。
それと同じことがあなたの首で起きているのです。
決して他人事ではないのです。
そこで今回は、耐え難い痛みを伴う頚椎椎間板ヘルニアは完治するのか、医師から処方される薬に効果があるのか、どんなリハビリに専念すべきかについてまとめました。
頚椎椎間板ヘルニアを発症してしまった以上、過ごしやすい環境を自分で確保していきましょう!
目 次
頚椎椎間板ヘルニアは完治する?しない?
整形外科を受診し頚椎椎間板ヘルニアと診断されると、医師からはこのように伝えられます。
「椎間板ヘルニアは完治することはありません」
「鎮痛剤を処方するので、痛みを緩和させながら様子をみましょう」
これまでの時間(過去)よりも、これから先の時間(未来)の方を長く過ごさなければならないのに、この痛みを一生抱え込んだ生活を強いられる宣告をされてしまうのです。
今あなたの頭の中では、最終的手段である『手術』を行わない限り完治しないのでは・・・という不安がよぎっていることでしょう。
しかし、椎間板ヘルニアは自然治癒することがわかってきているのです。
しかも、症状が重ければ重いほど治りが早いようなのです!
頚椎椎間板ヘルニア完治の道
椎間板ヘルニアが自然治癒するメカニズムをご説明します。
頚椎と頚椎の間にあるのが椎間板で、私達が飛んだり跳ねたりした時の衝撃を吸収してくれる働きをしています。
椎間板の中心部分にあるのが髄核です。
猫背などの悪い姿勢でいることにより首に負担をかけ、そのストレスを長年積み重ねると椎間板が後方に押され、中にある髄核が飛び出し神経を圧迫し痛みが生じます。
ここまでは皆さんのご理解の通りです。
この飛び出た椎間板の髄核が後退靭帯を突き破ってしまうことで、白血球のマイクロファージが『異物』とみなして攻撃してくれるのです。
軽度のヘルニアだと、マイクロファージが髄膜を発見できないことがあるため攻撃をしてくれません。
このことから、重度のヘルニアの方が自然治癒しやすいといえるのです。
医師が手術を勧めない限り、80%の確率で完治するものと心得ましょう。
頚椎椎間板ヘルニアの痛み止めは有効?
頚椎椎間板ヘルニアと診断されると、大抵は飲み薬・貼り薬を処方されます。
「完全には治せないので、痛みを緩和するしかありません」と、説明されて手術をしないとなると、妥当な診断だと思います。
受診する医師によって処方される薬の種類は違ってきますが、成分内容としては『筋肉の緊張を解す薬』『痛みにアプローチし緩和してくれる薬』『副作用で胃が荒れるのを防ぐ胃薬』が処方されます。
これで痛みが緩和されるのであれば有効といえますので、継続して服用するようにしましょう。
耐え難い痛みに耐えるよりも、薬の力を借りるのは最善の方法と言えます。
椎間板ヘルニアは整形外科に通っても治らないので、痛み止めが聞かないほどのひどい痛みを伴うならペインクリニックを受診されることをオススメします。
ペインクリニックとは痛み専門のクリニックで、神経ブロック療法(局部麻酔を注射)を用いて痛みを和らげてくれます。
頚椎椎間板ヘルニア有効なリハビリ方法
頚椎椎間板ヘルニアが自然治癒されるまではリハビリを3~4ヶ月行い、保存療法で改善を促していきます。
椎間板ヘルニアが自然治癒する確率は80%と高確率ではありますが、短期間でめざましく回復することは望めないことをご理解ください。
一章でも述べた通り、白血球のマイクロファージの免疫活動によって、飛び出した椎間板の髄核を攻撃してくれます。
ですので、電気で温めて血流を良くする方法は免疫力を高めてくれる意味でも、理にかなっています。
腕や指先の痺れが収まってきているのであれば、明らかに自然治癒されている証拠ですので良い傾向にあります。
首の牽引は、現代医学界で効果がないとされており否定された治療法と位置付けされています。
強く引っ張ることで脊髄を傷つける恐れや、背骨周りの靭帯や筋肉を痛める恐れ、症状を悪化させる危険があります。
リハビリに疑問を感じた場合や、効果が感じられない・若しくは悪化する症状があれば、医師と話し合うようにしてください。
納得できる回答が得られない場合は、セカンドオピニオンとして専門医・脊椎指導医のいる病院を探す選択もありです。
痛み止めとリハビリだけに頼らない
椎間板ヘルニアの完治は望めず、保存療法で症状の緩和・悪化させないようにしながら、自然治癒していくのを待つしかありません。
「薬を飲んでいるから」「リハビリに行っているから」「痛みがひいてきたから」
このような理由で首を酷使してはいけません。
普段の生活を見直し、セルフコントロールで首に負担をかけないよう心掛けましょう。
●痛みが酷い時はブロック注射を(ペインクリニックにて)
●スマートフォンやパソコンを使用する時は、首の角度を調整し負担を軽減すること
痛みが軽くなったところで首の体操を実施するようにしてください。
首への負担を軽減させるように務めることで、一ヶ月程度で症状が軽減されます。
もし、これで改善が見込めないなら手術を視野に考えていきます。
しかし手術をすることで、全ての不快を取り除くことは難しいのです。
症状が残るかもしれませんし、新たな痛みが生じる場合があることを念頭に置き検討してください。
頚椎椎間板ヘルニアは完治する?痛み止めの効果と有効なリハビリ方法のまとめ
保存療法中に自分自身で気をつけることは、姿勢を正すことです。
首(頭)を前に倒した状態は、まっすぐにしている時の3倍以上の負担が首の後ろから肩にかけてかかっています。
負担をかけたままだと自然治癒は望めません。
首・肩の筋肉が硬くなっているのも神経を圧迫する要因となりますので、極軽めのマッサージをするのも効果的ですよ。
頚椎椎間板ヘルニアを発症している時に一番やってはいけないことは、パソコンに長時間向かうことです。
ただし仕事などで、どうしてもパソコン作業をしなければならない場合は、長時間同じ姿勢でいないように気をつけてくださいね。
姿勢に気をつけて筋肉の緊張をためないようにすれば、自然治癒のスピードが格段に上がります。
どうか、お大事になさってください。